2012年11月6日
イーソル株式会社

イーソルの T-Kernel ベースソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 が、富士通セミコンダクター社の車載機器向け画像表示 LSI 「MB86R12」 のソフトウェア開発キットに標準採用


イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル) は、イーソルの T-Kernel ベースソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 が、富士通セミコンダクター株式会社 (本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:岡田 晴基、以下富士通セミコンダクター社) が開発した ARM(R) Cortex(TM)-A9 コア搭載の車載機器向け画像表示 LSI 「MB86R12」 に対応し、同社が開発・提供する MB86R12 向けソフトウェア開発キットに標準採用されたことを発表します。デジタルダッシュボードやカーナビ、ドライバーの視覚補助を行う 「全周囲立体モニタシステム(注1)」 など、車両情報や車両の周辺情報を運転手に視覚的に伝える高品位なグラフィックス表示システムにおいて、車載分野でさまざまな採用実績をもつ eCROS を利用することにより、高いリアルタイム性と信頼性を実現しながら、短期間、低コストでの開発を可能にします。

2012年11月14日(水)~16日(金)、パシフィコ横浜 (神奈川県横浜市) で開催される 「Embedded Technology 2012 組込み総合技術展」 のイーソルブース (ブース番号:D-17) にて、MB86R12 に対応した eCROS を紹介します。

MB86R12 は、ARM Cortex-A9 コアを搭載し、4つのビデオ入力、3つのディスプレイ出力と高速 2D/3D 描画機能を持つほか、自動車向け高速インターフェース APIX(R)2.0 (注2) を搭載した車載機器向け画像表示 LSI です。従来、メータークラスタディスプレイは速度や燃料残量などの表示に特化していましたが、近年はこれに加えて地図、カーオーディオ、車載カメラで取得した車両周辺映像や運転支援情報などを表示する機能が求められるようになり、センターディスプレイなど他の車載機器と連動させる制御が必要とされています。MB86R12 の利用により、さまざまな車載機器への映像表示の制御を1チップで可能にします。

eCROS は、リアルタイムOS 「eT-Kernel」 をコアに、開発ツール 「eBinder」、各種ミドルウェア、プロフェショナルサービスで構成されるソフトウェアプラットフォームです。eT-Kernel の優れたリアルタイム性と高い信頼性により、カーナビやカーオーディオなどの車載機器への採用実績が多数あります。富士通セミコンダクター社の自動車用画像表示 LSI のシリーズ製品で、2011年に発売された 「MB86R11」 のソフトウェア開発キットにも標準採用された実績があります。eT-Kernel には、POSIX 仕様準拠リアルタイムOS 「eT-Kernel/POSIX」 を含む、システム規模と用途にあわせたプロファイルがあるため、将来、機能と性能のバリエーションを持たせたシリーズ製品や後継製品を開発する場合にも、ソフトウェア資産の共通化により効率的な開発ができます。さらに eT-Kernel は、ARM Cortex-A9 コアに搭載された、マルチメディア/信号処理アルゴリズムを高速化する ARM NEON (TM) テクノロジー (注3) に対応しているため、オーディオ、ビデオ、3Dグラフィックスなどの高いマルチメディア機能を必要とする機器に最適です。また eT-Kernel に特化した eBinder は、リアルタイムOSを使うシステム開発のためにゼロから設計された開発ツールです。リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決できるため、開発者の負担を軽減し、開発効率を向上させることができます。


注1) 全周囲立体モニタシステム : 株式会社富士通研究所が開発した、ドライバーの視界補助向けに車両全周囲を任意の視点でリアルタイムに表示する映像処理技術。

注2) APIX2.0 : Automotive Pixel Link。ドイツの Inova Semiconductors 社が自動車向けに最適化した、高速差動インターフェース。伝送方式には、電流差動伝送 (CML:Current Mode Logic) を採用。

注3) ARM NEON テクノロジー : ARM Cortex-A シリーズのプロセッサに対応する128ビット SIMD (Single Instruction, Multiple Data) アーキテクチャ拡張機能。ビデオ・エンコード/デコード、2D/3Dグラフィックス、オーディオ/ボイス/スピーチ処理、画像処理などのマルチメディア/信号処理アルゴリズムを高速化する。

 

富士通セミコンダクター株式会社 映像ソリューション事業部長 脇本 康裕 様のコメント
「イーソルの定評あるソフトウェアプラットフォーム eCROS にて、車載の新たなマルチスクリーン、マルチソース環境をリードする MB86R12 がサポートされたことを歓迎します。車載HMI (Human Machine Interface) は、今後ますます高品位、高機能に向かいながらも高い信頼性が要求される分野であり、イーソルのOSと、豊富な経験、ノウハウで総合的なソリューションを提供いただくことを期待します。」

イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「近年、車載ディスプレイに表示する情報量は増加し、さらにドライバーに分かりやすい高品位な画像表示が求められています。それらを実現するには、高性能な画像表示機能を持つ LSI はもちろん、その性能を十分に活かすための高いリアルタイム性と信頼性を持つOSが不可欠です。イーソルは、車載機器をはじめとした幅広い分野での採用実績で培った技術力とノウハウで、車載機器向けのソフトウェア開発を強力に支援します。」


<補足資料>

■ eCROS について
eCROS は、イーソルのコア技術を注入したリアルタイムOSをベースとするソフトウェアプラットフォームです。eCROS により、ソフトウェア共通化によるコスト削減および開発期間短縮と、システムの信頼性確保を支援します。マルチコアプロセッサもサポートする T-Kernel 拡張版 「eT-Kernel」 と μITRON4.0 仕様準拠 「PrKERNELv4」 を中心に、開発ツール 「eBinder」、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの豊富なミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスで構成されています。動作検証があらかじめ済んでいるので、チューニングやカスタマイズなどの必要なく、すぐに動作します。ソフトウェアだけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROS は、カーナビやデジタル家電に加え、航空・宇宙分野、FA機器、OA機器など幅広い分野で多くの採用実績があります。

「eCROS」 詳細



■ eT-Kernel について
eT-Kernel は、リアルタイム OS ベンダーであるイーソルがこれまで μITRON で培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engine フォーラムが配布するオープンソースの T-Kernel に性能面・機能面で改良・拡張を加えた T-Kernel の拡張版です。システムの高速起動を可能にする 「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム (LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する 「例外マネージャ」 などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 では、独自のスケジューリング技術 「ブレンドスケジューリング」 により、ひとつのシステム内で SMP 型プログラムと AMP 型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術 「メモリパーティショニング」 により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernel には、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRON と近い構成を持つ μITRON からの移行に最適な 「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/Compact をベースに T-Engine 標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な
eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した 「eT-Kernel/POSIX」 です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIX は仕様で規定されているほとんどの800個近い POSIX API を実装しており、UNIX プログラミングでよく利用される fork、pthread、シグナルなどの機能も含みます。このため、Linux などの UNIX 系 OS の市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外の UNIX 系エンジニアリソースを容易に活用できます。また eT-Kernel/POSIX 上で、T-Kernel ベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。

「eT-Kernel」 詳細



■ eBinder について
eBinder は、T-Kernel、μITRON をコアとするシステム向けの開発スイートです。従来の T-Kernel / μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイム OS を使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイム OS を最大限に活用できます。eBinder は、C/C++ コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

「eBinder」 詳細



■ イーソル株式会社について
イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。

イーソル会社情報へ


 

* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirect
はイーソル株式会社の登録商標です。
* eCROS、eT-Kernel、PrCONNECT、PrFILE、PrUSB、PrMTP はイーソル株式会社の商標です。
* TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
* ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
* μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
* TRON、ITRON、T-Engine、T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
* 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。




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