2011年11月1日
イーソル株式会社

イーソル、ARM Cortex-M4 コア搭載 Kinetis マイコン向けμT-Kernel の無償提供を開始


イーソル株式会社 (本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル) は、マイコンを利用する組込みソフトウェア開発の支援を強化するため、μT-Kernel を ARM(R) Cortex-M4 コア搭載のフリース
ケール・セミコンダクタ社製 「Kinetis」 マイクロコントローラに移植し、μT-Kernel を Kinetis マイコンで動作させるためのパッチの無償提供を開始したことを発表します。マイコン向けソフトウェア開発者は、移植作業の工程を省き、コストをかけずに、Kinetis マイコンや試作プログラムの評価ができます。産業用機器、家電製品、自動車やネットワーク機器などの制御機能やセンサー機能などを実現するシステムに最適です。イーソルは、μT-Kernel のサポートやデバイスドライバの開発、カスタマイズなどの充実したプロフェッショナルサービスをオプションで提供します。

μT-Kernel の Kinetis マイコン向けパッチは、本日より、イーソルウェブ
サイトのダウンロードサービスを通じて取得できます。
▽ μT-Kernel 無償DL詳細 : http://www.esol.co.jp/embedded/mcu_solution.html#dl_info
μT-Kernel 無償ダウンロード詳細

μT-Kernel は、T-Engine フォーラムが仕様とリファレンスコードの開発を行った、マイコンなどを利用する小規模な組込みシステム向けのオープンソースのリアルタイムOSです。機能を絞り込み、資源を有効に使える機能を搭載するなど、小規模な組込みシステムに最適化されており、省資源と優れたリアルタイム性が実現されています。さらに、T-Kernel との互換性を考慮し、T-Kernel とインタフェースが統一されているため、デバイスドライバやミドルウェアをはじめとするソフトウェアの再利用が容易です。現在、T-Engine フォーラムのウェブサイトで無償提供されている μT-Kernel は、ARM Cortex-M シリーズには未対応です。現在の ARM Cortex-M シリーズの急速な普及に伴い、それに対応した μT-Kernel のニーズが見込まれていました。

開発対象システムの要求仕様などの都合によっては、無償の μT-Kernel ではなく、μITRON4.0 仕様準拠リアルタイムOS 「PrKERNELv4」 を選択することもできます。1999年の発売以来、車載機器、デジタル家電、OA機器、FA機器など、さまざまな分野で採用実績のある PrKERNELv4 の利用により、高品質、高信頼性のシステムを開発できます。PrKERNELv4 のメンテナンスや製品保証は、イーソルが責任を持って行います。

イーソルのプロフェッショナルサービスは、35年以上にわたる経験と実績で培った、確かな技術力と豊富なノウハウをベースとするクオリティの高さが特長です。プロフェッショナルサービスには、μT-Kernel のサポートに加え、ポーティングやカスタマイズ、性能チューニング、その他の受託開発や技術者派遣などが含まれ、様々なニーズをカバーしています。これらを利用することで、開発者は商品の付加価値を高める機能やアプリケーション開発に専念できます。

さらに、将来マイコンから高性能プロセッサやマルチコアプロセッサに移行する際には、イーソルの T-Kernel 拡張版リアルタイムOS 「eT-Kernel」 を提供します。μT-Kernel 上に構築したソフトウェア資産を容易に再利用できるため、ソフトウェアを共通化した効率的な開発ができます。車載機器や人工衛星、様々なコンシューマ機器をはじめとする多数の実績を持つ eT-Kernel は、小規模システムから大規模、高機能なマルチコアシステムまでをカバーするスケーラブルなラインアップと、優れた信頼性と品質が特長です。eT-Kernel は、開発ツール 「eBinder」、ネットワーク、ファイル、USB、GUIなどのミドルウェア、プロフェッショナルサービスと統合されたソフトウェアプラットフォーム 「eCROS」 として提供されます。

イーソルは、今後ニーズに応じて、μT-Kernel の ARM(R)Cortex-M3 などその他のマイコンへの移植や、TCP/IP プロトコルスタックやUSBスタック、ファイルシステム等のミドルウェアやドライバの統合などを行う予定です。

東京大学大学院情報学環教授 工学博士/T-Engine フォーラム 会長 坂村 健 様のコメント
「イーソルが、ARM Cortex-M4 搭載 Kinetis マイコンに対応する μT-Kernel 用のパッチを無償で提供することにより、μT-Kernel を手軽に利用できる環境がさらに広がったことを歓迎します。イーソルは、T-Engine フォーラムの幹事会員として、オープンソースの T-Kernel の発展に大きな貢献をしてきたキープレーヤーの一社です。イーソルの高い技術力と T-Kernel に関する多くの実績と経験をもって、μT-Kernel がさらに多くのシステムで普及していくことを期待しています。」

ARM株式会社 代表取締役社長 西嶋 貴史 様のコメント
「イーソルの μT-Kernel 無償提供により、ARM Cortex-M プロセッサのユーザがコストをかけずにプロセッサを評価できることを歓迎します。ARM Connected Community の主要なパートナーの一社であるイーソルは、これまで ARM Cortex-A9 MPCore、ARM Cortex-A8 をはじめとする多くのARMコア向けに、リアルタイムOSをはじめとする優れたソフトウェア製品とプロフェッショナルサービスを提供してきました。ARMコアの深いノウハウと技術を生かした、ARM Cortex-M プロセッサへの包括的なサポートを期待しています。」

フリースケール・セミコンダクタ・インク インダストリアル&マルチ・マーケット MCU マーケティング・ダイレクタ ジェフ・ボック 様のコメント
「日本市場では、マイクロコントローラを使う小規模なシステムでは、限られたメモリ・リソースを有効に使うため、ITRON OS が標準的に使用されてきました。そのため、Kinetis マイクロコントローラ・ユーザからは、ITRON OS 資産を再利用できる環境を求める声を多く聞きます。今回、イーソルから無償提供される Kinetis 対応の μT-Kernel が、そういったニーズを満たし、コスト効率の良いソフトウェア開発を実現するでしょう。
イーソルはフリースケールのマイクロコントローラ・ビジネスにおける日本のOSベンダーとして、その高い実績とプロフェッショナルなサービスにより、Kinetis マイクロコントローラ・ユーザに対して競争力のあるエコシステムの提供に貢献してくれると期待しています。」

イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「イーソルは、採用が進む Kinetis マイコンに対応する μT-Kernel 用パッチを無償提供することにより、さらにマイコン向けソフトウェア開発者の支援を強化します。将来、高性能プロセッサやマルチコアプロセッサに移行する際に、効率的な移行パスをご用意できるのがイーソルの強みです。イーソルは、マイコンから、高性能プロセッサ、マルチコアプロセッサまでをカバーする、リアルタイムOSを中心とするソフトウェア製品のラインアップと、充実したプロフェッショナルサービスで、組込みソフト開発者をトータルに支援します。」


<補足資料>

■ eT-Kernel について
eT-Kernel は、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまで μITRON で培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engine フォーラムが配布するオープンソースの T-Kernel に性能面・機能面で改良・拡張を加えた T-Kernel の拡張版です。システムの高速起動を可能にする 「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム (LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する 「例外マネージャ」 などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版 「eT-Kernel Multi-Core Edition」 では、独自のスケジューリング技術 「ブレンドスケジューリング」 により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術 「メモリパーティショニング」 により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernel には、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRON と近い構成を持つ μITRON からの移行に最適な 「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/Compact をベースに T-Engine 標準のデバイスドライバが付属した 「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な 「eT-Kernel/Extended」、および POSIX に準拠した 「eT-Kernel/POSIX」 です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIX は仕様で規定されているほとんどの800個近い POSIX API を実装しており、UNIX プログラミングでよく利用される fork、pthread、シグナルなどの機能も含みます。このため、Linux などの UNIX 系OSの市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外の UNIX系エンジニアリソースを容易に活用できます。また eT-Kernel/POSIX 上で、T-Kernel ベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。

「eT-Kernel」 詳細



■ イーソル株式会社について
イーソル株式会社は 「Inside Solution」 をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。

イーソル会社情報へ


* eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは、
イーソル株式会社の登録商標です。
* eCROS、eT-Kernel、PrUSBは、イーソル株式会社の商標です。
* TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
* ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
* μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
* TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
* 記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。




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