プレスリリース

デンソーが開発した、ドライバーの運転状態を検出する「ドライバーステータスモニター」にイーソルのT-Kernelベースソフトウェアプラットフォームが採用

報道関係者各位 
イーソル株式会社


イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川勝敏、以下イーソル)は、株式会社デンソー(以下デンソー)が開発したドライバーの運転状態を検出する「ドライバーステータスモニター」に、イーソルのT-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eT-Kernel Platform」が採用されていることを発表します。eT-Kernelプラットフォームは、T-Kernel 拡張版リアルタイムOS「eT-Kernel」を中心に、開発ツール「eBinder」、ファイルシステムやUSBスタック、ネットワークプロトコル、GUIなどの各種ミドルウェア、プロフェショナルサービスで構成されています。イーソルはeT-Kernelプラットフォームの提供を通じ、優れたリアルタイム性および高い信頼性の確保と、効率的なソフトウェア開発の実現に貢献しました。

ドライバーステータスモニターは、近赤外線カメラとECU(電子制御ユニット)から構成されます。近赤外線カメラでリアルタイムにドライバーの顔を撮影し、撮影した画像をもとにECUが顔の向きや目の開き具合などを検出・解析し、ドライバーが一定時間、目を閉じたり正面を向いていない状態が続くと、警報を鳴らしてドライバーに安全運転を促します。

ドライバーステータスモニターに採用されたのは、マルチコアプロセッサ対応リアルタイムOS「eT-Kernel Multi-Core Edition」とリアルタイムシステム開発向けに特化した開発ツール「eBinder」です。eT-Kernel Multi-Core Editionは、2006年のリリース以来、デンソーのカーナビゲーションシステムをはじめとするさまざまな組込みシステムで採用実績をもつ、マルチコア対応SMP型リアルタイムOSです。独自の「ブレンドスケジューリング」技術により、ひとつのシステム/OS上で、高いスループットを達成するSMPのメリットと、シングルコア向けソフト資産の再利用やリアルタイム性の保証を可能にするAMPのメリットの両方を実現できます。eBinderはeT-Kernel Multi-Core Editionと緊密に統合されており、シングルコア向けのソフトウェア開発はもちろん、複雑なマルチコアシステムのデバッグや解析を強力に支援する様々なツールを提供します。eBinderの利用により、高品質なソフトウェアを効率的に開発できます。

eT-Kernelプラットフォームは、全方位型マルチカメラシステムなどの先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)に加え、カーナビやカーオーディオをはじめとする車載情報機器、OA機器、コンシューマ機器など、幅広い分野で多数の採用実績があります。eT-Kernelプラットフォームの採用により、多彩な実績が実証する高い信頼性と品質を取り入れることができます。また、イーソルは現在、eT-KernelとeBinderの機能安全規格の第三者認証の取得に向けた取り組みを行っており、2014年第4四半期には、自動車向け機能安全規格ISO26262における車載向け安全度水準(ASIL:Automotive SIL)Bでの認証を取得見込みです。機能安全規格対応のリアルタイムOSおよび開発ツールにより、機能安全規格への適合支援を行い、自動車向けソフトウェア開発における高い安全性の確保を強力にサポートします。

▽「ドライバーステータスモニター」プレスリリース(2014年4月3日デンソー発表): http://www.denso.co.jp/ja/news/newsreleases/2014/140403-01.html
▽株式会社デンソー ウェブサイト: http://www.denso.co.jp/ja/
▽イーソル製品ユーザ様事例: https://www.esol.co.jp/successstory/rtos_middleware.html


イーソル株式会社 執行役員 エンベデッドプロダクツ事業部長 上倉 洋明 のコメント

「デンソー様のカーナビやドライブレコーダー搭載デジタルタコグラフに続き、ドライバーステータスモニターにeT-Kernelプラットフォームをご採用いただき大変光栄です。イーソルはこれまで、車載機器で求められる厳しいリアルタイム要求や高い信頼性の確保を実現するため、eT-Kernelプラットフォームの品質や性能、機能の改善を続けて参りました。eT-Kernel、eBinderに加え、幅広い採用実績により培われたノウハウや経験をベースにしたプロフェッショナルサービスと合わせて、今後も進化を続ける車載システム開発を強力に支援していきます。」


■補足資料

eT-Kernelについて

eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでµITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システムの高速起動を可能にする「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム(LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する「例外マネージャ」などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版「eT-Kernel Multi-Core Edition」では、独自のスケジューリング技術「ブレンドスケジューリング」により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術「メモリパーティショニング」により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernelには、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな3つのプロファイルがあります。µITRONと近い構成を持つµITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIXは仕様で規定されているほとんどの900個を超えるPOSIX APIを実装しており、UNIXプログラミングでよく利用されるfork、pthread、signalなどの機能も含みます。このため、LinuxなどのUNIX系OSの市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外のUNIX系エンジニアリソースを容易に活用できます。またeT-Kernel/POSIX上で、T-Kernelベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。

eT-Kernel詳細



eBinderについて

eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

eBinder詳細



eT-Kernel Platformについて

eT-Kernelプラットフォームは、イーソルのコア技術を注入したリアルタイムOSをベースとするソフトウェアプラットフォームです。eT-Kernelプラットフォームにより、ソフトウェア共通化によるコスト削減および開発期間短縮と、システムの信頼性確保を支援します。マルチコアプロセッサもサポートするT-Kernel拡張版「eT-Kernel」とμITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」を中心に、開発ツール「eBinder」、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの豊富なミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスで構成されています。動作検証があらかじめ済んでいるので、チューニングやカスタマイズなどの必要なく、すぐに動作します。ソフトウェアだけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eT-Kernelプラットフォームは、カーナビやデジタル家電に加え、航空・宇宙分野、FA機器、OA機器など幅広い分野で多くの採用実績があります。

eT-Kernel Platform詳細


イーソル株式会社について

イーソル株式会社は「Inside Solution」をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。

イーソル会社情報へ


*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは、イーソル株式会社の登録商標です。
*eT-Kernel、PrUSBは、イーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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