2008年5月28日
報道関係者各位
イーソル株式会社

カーナビや高性能PND向けワンセグ対応アプリケーションプロセッサ「SH-MobileR2」をイーソルのT-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eCROS」がサポート


~リアルタイムOSから開発環境、ミドルウェア、プロフェッショナルサービスまでが揃うeCROSにより
アプリケーション開発に集中できる環境を提供~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、ワンセグ対応のカーナビゲーション機器(以下、カーナビ)や簡易型カーナビであるPND(Personal Navigation Device)に最適な、株式会社ルネサス テクノロジ(以下、ルネサス)製アプリケーションプロセッサ「SH-MobileR2」をサポートした、T-Kernelベースのソフトウェアプラットフォーム「eCROS」をリリースしたことを発表します。

eCROSは、T-Kernel拡張版「eT-Kernel」に加え、T-Kernelベースソフトウェア開発に特化した豊富な開発ツール・機能をパッケージにした開発スイート「eBinder」、各種ミドルウェア、製品サポートや受託開発などのプロフェッショナルサービスで構成されるソフトウェアプラットフォームです。ミドルウェアの一部は、SH-MobileR2に内蔵されているUSBコントローラなどの周辺機能をサポートしています。システムの要求に応じて必要な要素を自由に組み合わせて独自のソフトウェアプラットフォームを構築できます。SH-MobileR2を使ったカーナビやPNDなどのソフトウェア開発にeCROSを採用することで、複数のメーカーへの問い合わせや、ソフトウェアプラットフォームの動作検証、問題が起きた場合などの切り分けなどの手間を省くことができます。さらに、イーソルのプロフェッショナルサービスを利用することで、開発者はドライバ開発やプラットフォームを構成する各種ソフトウェアの統合作業などの手間を省け、上位のアプリケーション開発に集中できます。

eT-Kernelは、ターゲットシステムの規模と用途にあわせて選択できる、4つのプロファイルで構成されています。カーナビやカーオーディオなどの車載機器で採用された実績があります。今回SH-MobileR2をサポートしたのは、高いリアルタイム性能とコンパクトさが特長の「eT-Kernel/Compact」です。今後、ルネサスとの強力なパートナーシップのもと、大規模・高機能システム向けに特化した、メモリ保護機能/プロセスモデル対応「eT-Kernel/Extended」やPOSIX仕様準拠リアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」の対応を行っていきます。これにより、eT-Kernel/Compact上で開発したソフトウェアを再利用しながら、より高機能・高性能な製品のシリーズ開発などが容易になります。

SH-MobileR2は、マルチメディア機能が優れたアプリケーションプロセッサです。最大動作周波数400MHzのSH-4Aコアと、画像や音声処理に有効な浮動小数点演算器(FPU)に加え、64Kバイトの一次キャッシュと256Kバイトの二次キャッシュを備えており、比較的処理が重いマルチメディア処理においてもストレスのない高速なソフトウェア処理が可能です。また、日本の地上デジタル放送ISDB-Tで採用されている動画像圧縮方式H.264/MPEG-4 AVC(以下H.264)に対応したマルチコーデックの高性能な動画像処理IP「VPU5F」が搭載されています。VGAサイズで30fps(frame per second)のエンコード/デコード処理が可能です。H.264に加えて、MPEG-4、VC-1にも対応しているため、ワンセグ放送に加え、ビデオメールやTV電話、ムービー等の様々な動画アプリケーションを実現できます。さらに、地図描画用の2Dグラフィックアクセラレータや地上デジタル放送の高画質表示を可能にする拡大エッジ強調機能、USB2.0ホスト/ファンクション、ATAPIコントローラ、ハイスピード規格対応SDホストコントローラなど、さまざまなマルチメディア機能を実現できる高性能な周辺機能を内蔵しています。


株式会社ルネサス テクノロジ システムソリューション第二事業部 事業部長 川崎郁也 様 のコメント
「T-KernelベースのeCROSがSH-MobileR2をサポートしたことにより、短期間・低コストでのソフトウェア開発を可能にする選択肢をユーザに提供できるようになります。T-Kernelは、μITRONの後継として、μITRONのノウハウや資産を活用した効率的な開発に有効です。またイーソルのカーナビ開発での経験と実績は、ユーザの開発時に強力な味方になると期待しています。イーソルとともに、SH-MobileR2ベースのカーナビ、PND開発をサポートしていきます。」

イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「SH-MobileR2は、ワンセグ受信などのマルチメディア機能に特に優れたアプリケーションプロセッサで、カーナビやPND開発に最適です。イーソルは、カーナビを含む車載機器での経験、実績があります。今回リリースしたSH-MobileR2対応eCROSに加え、これまでの経験から得た技術、ノウハウも投入し、SH-MobileR2を使ったカーナビ、PND開発を、ルネサス様とともに強力に支援していきます。」


補足資料

■eT-Kernelについて
eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システム起動時間の大幅短縮、高速な割込み応答性、タスク切り替えの高速化、コンフィギュレーションによるメモリフットプリント調整機能、ハードウェア依存部のレイヤー化、モジュール化による移植性の向上などを実現しました。eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせた4つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。

「eT-Kernel」詳細


■eBinderについて
eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

「eBinder」詳細


■イーソル株式会社と「eCROS」について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。イーソルは、「Inside Solution」をブランドスローガンに、ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた4つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。
2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。



*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは、
イーソル株式会社の登録商標です。
*eCROS、eT-Kernel、PrUSBは、イーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。