2010年3月3日
株式会社SRA
イーソル株式会社

C++ GUI開発フレームワーク「Qt」がPOSIX仕様準拠リアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」をサポート


株式会社SRA(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:鹿島 亨、以下SRA)とイーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、C++ GUI開発フレームワーク「Qt」を、イーソルが開発・販売を行うT-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eCROS」にSRAが対応させたことを発表しました。イーソルの支援によりeCROSに対応したQtのリリースは、2010年夏を予定しており、SRAとイーソルは共同でビジネス拡充を図ってまいります。

「Qt」は、Nokia, Qt Development Frameworks社の開発するC++GUI開発フレームワークであり、2002年よりSRAが販売と関連サービスの提供を行っています。Qtは、拡張性が高く、分かりやすく使いやすいAPIと、充実した機能により、高度なGUIを効率的に開発ができます。現在、世界60ヶ国、5,500社以上で導入実績があり、Skype(TM)やGoogle Earth(TM) 地図サービスから、携帯電話等のモバイルデバイスや多機能プリンタ、カーナビ等の組込み機器、信頼性が求められる医療や防衛など、幅広い分野で採用されています。仮想マシンを必要としないので、組込み機器でも高速な動作が可能です。

「eCROS」は、4つのスケーラブルなプロファイルをもつT-Kernel拡張版「eT-Kernel」を中心に、開発ツール、各種ミドルウェア、およびプロフェッショナルサービスから構成される組込みシステム向けソフトウェアプラットフォームです。今回Qtが対応したPOSIX仕様準拠リアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」は、The Open Base Specifications Issue 6/IEEE Std 1003.1, 2004 Editionに準拠しています。単なるラッパーライブラリではなく、eT-Kernelコア内部に手を入れてチューニングすることで、リアルタイム性能を損なわずにPOSIXの機能を実現しています。eT-Kernel/POSIXは、組込みLinuxと比べ、高いリアルタイム性や高速ブート、省メモリ、高い信頼性といったメリットを提供しながら、本格的なPOSIX機能を提供します。

今回の対応に際しては、組込みLinux用のQtをベースにしてeCROSへの移植を行いましたが、eT-Kernel/POSIXが提供する本格的なPOSIX機能によりLinuxと同等のUNIX環境を構築できたため、短期間、低コストで移植を実現できました。

Qtが、eT-Kernel/POSIXに対応したことにより、優れたリアルタイム性能を必要とするカーナビなどの車載機器やデジタル家電をはじめとする組込み機器においても、デスクトップPCと同等のQtのリッチで洗練されたGUIを効率よく実装できるようになりました。

SRAは、イーソルが運営する「eCROSパートナープログラム」のメンバーです。今後両社は、eCROS対応Qtの販売活動、プロモーション活動、製品サポートなどの各場面で協力すると共に、QtおよびeCROSを使う開発者を強力に支援していきます。


補足資料

■株式会社SRAとQtについて
株式会社SRAは、1967年の創業以来、独立系情報サービス会社として、先進的な技術をITに求められる「スピード」、「クオリティ」、「コスト」を満たすサービス・製品を高い技術力と長年の実績・ノウハウにより提供しています。Qtは、マルチプラットフォームに対応しており、デスクトップ分野、組込み分野を問わず豊富な実績を持ち、全世界で30万人を超える開発者が存在します。機能として、WebKitインテグレーションによるブラウザ機能やWebとQtの統合開発、宣言的UIによるダイナミックなアニメーションUIや、OpenGLによる3Dグラフィック、マルチスレッド、ネットワーク、2Dグラフィックキャンバス、スクリプトエンジン、XML、データベース、マルチメディアフレームワーク、プロセス間通信、アニメーションフレームワーク、ステートマシン等の多彩なモジュールを揃えています。SRAは、Qtについて2002年から取り組みを始め、現在Nokia, Development Frameworks社のQt公認パートナー(Certified Partner、Training Partner、Consulting Partner)として日本でのQtのビジネスを推進しています。ライセンスの提供以外にも、デスクトップおよび組み込み製品のアプリケーション開発、旧バージョンからのマイグレーション、組み込み機器へのターゲティング、コンサルテーション、認定トレーナーによるQtプログラミングコース、専属のサポート体制によるサポートまで、幅広いサービスを提供し、数多くの実績を持っています。その他に、Qt専用の自動GUIテストツールSquishのライセンスやテストケース作成支援、独自に開発したQt用の組み込み向け日本語入力モジュール「Qinput」や、ソフトウェアキーボード「Qtouch」といったオリジナルソリューションの提供、Qtに関する書籍の翻訳や各種メディアでの執筆等、さまざまな活動を行っている日本におけるQtのリーディングカンパニーです。

■イーソル株式会社について
イーソル株式会社は「Inside Solution」をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。


■eCROSについて
eCROSは、イーソルのコア技術を注入したリアルタイムOSをベースとするソフトウェアプラットフォームです。eCROSにより、ソフトウェア共通化によるコスト削減および開発期間短縮と、システムの信頼性確保を支援します。マルチコアプロセッサもサポートするT-Kernel拡張版「eT-Kernel」とμITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」を中心に、開発ツール「eBinder」、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの豊富なミドルウェアに加え、製品サポートや受託開発などを含むプロフェッショナルサービスで構成されています。動作検証があらかじめ済んでいるので、チューニングやカスタマイズなどの必要なく、すぐに動作します。ソフトウェアだけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSは日本国内および海外で、カーナビやデジタル家電に加え、航空・宇宙分野、FA機器、OA機器など幅広い分野で多くの採用実績があります。

「eCROS」詳細



■eT-Kernelについて
eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システムの高速起動を可能にする「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム(LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する「例外マネージャ」などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版「eT-Kernel Multi-Core Edition」では、独自のスケジューリング技術「ブレンドスケジューリング」により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術「メモリパーティショニング」により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernelには、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。eT-Kernel/POSIXは仕様で規定されているほとんどの800個近いPOSIX APIを実装しており、UNIXプログラミングでよく利用されるfork、pthread、シグナルなどの機能も含みます。このため、LinuxなどのUNIX系OSの市販/オープンソースの豊富なソフトウェア資産に加え、国内外のUNIX系エンジニアリソースを容易に活用できます。またeT-Kernel/POSIX上で、T-Kernelベースのアプリケーションも同時に動作させることができます。

「eT-Kernel」詳細



■eCROSパートナープログラムについて
eCROSパートナープログラムは、eCROSを利用して組込みソフトウェアを開発するエンジニアを、パートナー企業とともに強力に支援することを目的としています。本プラグラムを通じてイーソルは、ミドルウェアや半導体・IP、各種開発ツールなどを開発・販売するパートナー企業によるeCROS対応商品の開発を積極的にサポートします。さらに、eCROS対応商品の販売、プロモーション活動をパートナー企業とともに行います。パートナー企業のeCROS対応商品のラインアップが広がることにより、組込み機器の開発者は、多くの選択肢の中から必要なものを選択し、eCROSベースのソフトウェアに組み込むことができるようになります。

「eCROSパートナープログラム」詳細




*Skypeはスカイプ社の商標です。
*Google EarthはGoogle Inc.の商標です。
*Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標または商標です。
*Mac、Mac OSは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
*eCROS、eT-Kernel、PrUSBは、イーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。


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