2009年7月16日
報道関係者各位
イーソル株式会社

ボッシュが開発したカーナビに、イーソルのT-Kernelベースソフトウェアプラットフォーム「eCROS」が採用


~ハイエンドクラスのカーナビに最適なソフトウェアプラットフォームの導入により、市場競争力を強化~

  イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田 勉、以下イーソル)は、自動車機器サプライヤー大手のロバート・ボッシュ GmbH(本社:ドイツ、以下ボッシュ)が、多くの先進機能を提供する同社の最新カーナビゲーションシステム(カーナビ)に、イーソルのT-Kernelベースシステムソフトウェアプラットフォーム「eCROS」を採用したことを発表します。ボッシュの車載インフォテイメントシステムは、2009年欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞車で独オペル社が現在欧州市場で販売するインシグニアに、機能豊富な最上位機種「DVD 800 Navi」として初めて装備されました。今後米ゼネラル・モーターズ社(以下GM)をはじめ、世界各国の主要な自動車メーカーのさまざまな乗用車に搭載される予定です。eCROSは、複数プロファイルで構成されるスケーラブルなT-KernelベースのリアルタイムOS、各種ミドルウェア、開発ツールに加え、製品サポートやポーティング、カスタマイズ、受託開発などを含むプロフェッショナルサービスがシームレスに統合されたソフトウェアプラットフォームで、開発の効率化と品質の向上を強力に支援します。

  eCROSの核をなす「eT-Kernel」は、T-Engineフォーラムが配布するT-KernelとT-Kernel/Standard Extensionに、イーソルが多くの機能拡張と性能改善を行ったリアルタイムOSです。拡張された機能は、大規模なアプリケーションでも高速にシステム起動ができる「高速ブート」など、カーナビに必要不可欠な、付加価値の高い機能を含みます。こうしたイーソルのOS技術は、主にデジタル家電や車載機器などの分野における経験と実績から培ったノウハウがベースになっています。eT-Kernelは、ベーシックなコアのOS機能を共有する4つのプロファイルから構成され、システムの規模と用途に合わせて選択できます。各プロファイル上のソフトウェア資産を共通化できるので、ソフトウェアプロダクトラインの考え方を取り入れたスケーラブルな製品開発ができます。さらに、T-Kernelの前身であるμITRONの資産に加え、LinuxなどのUNIX資産もeT-Kernel上で再利用できるため、短期間、低コストでソフトウェアを開発できます。

  eT-Kernelの拡張性に優れたアーキテクチャにより、イーソル製またはサードパーティ製を問わず、さまざまなミドルウェアを、eT-Kernelに容易に統合できます。ボッシュの車載インフォテイメントシステムに内蔵されたUSB接続機能は、この拡張性を利用して実現され、USBメモリやiPodを含む携帯型音楽プレーヤーとの連携を可能にしました。また、強力なグラフィックソフトウェアもeT-Kernelに統合されており、2Dまたは3Dでの地図表示を可能にしています。


イーソル株式会社 常務取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「ボッシュのカーナビ開発の成功により、堅牢なリアルタイムOSと強力な開発ツールを含む弊社のソフトウェアプラットフォームが、ハイエンドクラスのカーナビ開発でも十二分な役割を果たせることが証明されたと考えています。eCROSはこれまでにも、主要自動車メーカーや一流自動車機器サプライヤーのカーオーディオ機器やカーナビにおいて、多くの採用実績がありますが、今回のボッシュとの共同作業はその中でも特筆すべき実績のひとつになると考えています。
  ボッシュが開発した車載インフォテイメントシステムがオペル社インシグニア搭載「DVD 800 Navi」としてリリースされたこと、さらに今後GM社などから多くのモデルがリリースされることは、私たちにとっても大変うれしいことです。eCROSは、今日カーナビ市場で大きなシェアを持つOSと比べてもひけをとらない、優れた機能と性能を発揮します。イーソルは今後も、強力なリーダーシップとボッシュとの協業をもとに、ハイエンドクラスのカーナビ開発をリードしていきます。」


補足資料

■eT-Kernelについて
eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です。システムの高速起動を可能にする「高速ブート」、複数ファイルシステムの透過アクセスを可能にする論理ファイルシステム(LFS)、システム稼動中の問題解析を支援する「例外マネージャ」などの多くの拡張機能を実装しています。マルチコア対応版「eT-Kernel Multi-Core Edition」では、独自のスケジューリング技術「ブレンドスケジューリング」により、ひとつのシステム内でSMP型プログラムとAMP型プログラムを混在させられるほか、システム保護技術「Memory Partitioning」により、マルチコアシステムの信頼性と品質確保を支援します。eT-Kernelには、さまざまなシステム規模と用途をカバーするスケーラブルな4つのプロファイルがあります。μITRONと近い構成を持つμITRONからの移行に最適な「eT-Kernel/Compact」、eT-Kernel/CompactをベースにT-Engine標準のデバイスドライバが付属した「eT-Kernel/Standard」、メモリ保護機能とプロセスモデルをサポートする大規模開発に最適な「eT-Kernel/Extended」、およびPOSIXに準拠した「eT-Kernel/POSIX」です。それぞれのプロファイル上で構築したソフトウェアを共通化したプロダクトライン型ソフトウェア開発も容易です。

「eT-Kernel」詳細



■イーソル株式会社と「eCROS」について
  イーソル株式会社は1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。イーソルは、「Inside Solution」をブランドスローガンに、ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
  エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた4つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。
  日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。



*iPodは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
*eCROS、eT-Kernel、PrUSBはイーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。