2007年10月3日
報道関係者各位
イーソル株式会社

イーソルのマルチコアプロセッサ対応リアルタイムOS、ブレンドスケジューリング機能を拡張

~より柔軟なシステム設計が可能になり、ソフトウェア資産の再利用性をさらに向上~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、イーソル製マルチコアプロセッサ対応リアルタイムOS「eT-Kernel Multi-Core Edition」を拡張し、さらに機能を向上させました。

従来のeT-Kernel Multi-Core Editionは、イーソルが独自に開発したユニークなスケジューリング機能を搭載しており、対称型マルチプロセッシング(Symmetrical multi-processing:SMP)型プログラムと、非対称型マルチプロセッシング(Symmetrical multi-processing:AMP)型プログラムを、ひとつのマルチコアプロセッサ上で、同時に複数個存在させることができました。今回、さらに二つのスケジューリングモードを追加し、合計四つのスケジューリングモードを提供することで、より柔軟なシステム設計が可能になり、ソフトウェア資産の再利用性をさらに向上させることに成功しました。

マルチコアプロセッサを使ったシステム開発の際に、既存のソフトウェアを再利用する場合、注意するべき点があります。従来のシングルコアプロセッサ向けの既存ソフトウェアで、優先度やCPUの全割り込み禁止に頼った排他を行っている場合、マルチコア上でそのまま実行すると低優先度プログラムが空いているCPUコアで実行されてしまったり、他のCPUコアで割り込みが起こってディスパッチが発生したり、意図した順番でプログラムが実行されない場合があります。従来のeT-Kernel Multi-Core Editionでも、これを回避するためのスケジューリングモードを提供していましたが、今回さらに二つのスケジューリングモードを追加することで、ハードウェアリソースを無駄なく最大限に活用しながら、さらに多くのソフトウェア資産を再利用できるようにしました。

eT-Kernel Multi-Core Edition用の開発環境には、「eBinder」を用意しています。コンパイラに加え、コンフィギュレーション、デバッグ、システム解析といった一連の開発に必要となる豊富な開発ツールが含まれています。SMP型プログラム、AMP型プログラムのどちらもサポートしており、シングルプロセッサのときと同様の開発サイクルで開発を進めることができます。eBinderが提供するマルチプログラミングツールは、マルチコアプロセッサ上のソフトウェア開発で特に重要になるタスク/プロセスの正確なマルチプログラミングに有効です。また、eBinderのシステム解析ツールは、複数コア上のプログラム間における協調動作の様子やシステム全体の複雑な動きをeBinder内で解析し、さらに視覚的に分かりやすいさまざまなグラフや表で表示します。eBinderを使うことで、高品質なシステムを、より効率的に開発できます。

機能アップしたeT-Kernel Multi-Core Editionのデモを、下記イベントのイーソルブースで実演します。
● ARM Developers’ Conference 2007
(2007年10月2日、3日/SANTA CLARA CONVENTION CENTER, カリフォルニア・サンタクララ)
● ARM Forum 2007
(2007年10月16日/東京コンファレンスセンター 品川、東京・品川)

eT-Kernel Multi-Core EditionとeBinderは、「開発環境」、「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」から構成される、統合化されたソフトウェアプラットフォーム「eCROS」の一部です。イーソルは、eT-Kernel Multi-Core EditionおよびeBinderに加えて、各種ミドルウェアと充実したプロフェッショナルサービスを包括的に提供し、マルチコアプロセッサベースのソフトウェア開発の効率化と、高品質の確保の両立を支援します。

「eT-Kernel Multi-Core Edition」詳細



イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント
「さまざまな半導体メーカーからマルチコアプロセッサが発表されたり、お客様の中でも実際にマルチコアプロセッサを選択されるケースが増えたり、マルチコアプロセッサの採用は今後ますます加速することが予想されます。イーソルは、現在のマルチコア向けのOS技術をベースに、お客様の声を元に常に改良・改善を加えて、複雑なマルチコアベースのソフトウェア開発をより容易に、短期間でできるような、ソフトウェアプラットフォームをご提供していきます。」


補足資料

■eT-Kernel Multi-Core Editionについて
eT-Kernel Multi-Core Editionは、マルチコアプロセッサを使う組込みシステムのためのリアルタイムOSです。独自のユニークなスケジューリング機能を搭載しており、ひとつのシステム内で、SMP型/AMP型が混ざった複数個のプログラムを混在させることができます。これにより開発者は、シングルコアプロセッサ利用時の資産やノウハウのそのまま再利用しながら、マルチコアプロセッサの性能を最大限に生かしたプログラムを開発することができます。「Single Processor Mode(SPM)」と「True SMP Mode(TSM)」の2つのスケジューリングモードを用意しています。プログラムによって適切なモードを選択することで、高いスループットの実現などのSMP型プログラムのメリットと、リアルタイム性の確実な保証やソフトウェア資産の再利用性といったAMP型プログラムが持つメリットの、両方をひとつのシステム内で実現できます。

「eT-Kernel Multi-Core Edition」詳細



■eBinderについて
eBinderは、T-Kernel、μITRONをコアとするシステム向けの開発スイートです。従来のT-Kernel/μITRONソフトウェア開発に不足していた、優れた開発環境を提供します。リアルタイムOSを使ったシステム開発のためにゼロから設計された開発ツール・機能群を使うことで、リアルタイムシステム特有の問題を容易に解決でき、リアルタイムOSを最大限に活用できます。eBinderは、C/C++コンパイラを含む各種開発ツール群と、あらゆる組込みソフトウェアのベースとなるターゲットプラットフォームを構成するモジュール群があわせて提供されます。

「eBinder」詳細


■イーソル株式会社と「eCROS」について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。イーソルは、「Inside Solution」をブランドスローガンに、ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
エンベデッドプロダクツ事業部は、組込みシステム開発向けに、「開発環境」、 「リアルタイムOS」、「ミドルウェア」、そして「プロフェッショナルサービス」までを含むソフトウェアプラットフォーム『eCROS』(eSOL Component Real-time OS platform/イークロス)をご提供しています。多くの実績に裏打ちされた高い信頼性を持つeCROSの導入により、「高い品質」と「開発の効率化」の両立を実現します。ソフトウェア製品のご提供だけでなく、ニーズに合わせたプロフェッショナルサービスをあわせてご提供することで、開発者の皆様がアプリケーション開発に専念できる環境を作ります。eCROSを構成するリアルタイムOSには、システムの規模と用途にあわせた3つのプロファイルを持つT-Kernel拡張版「eT-Kernel」と、組込み分野で多くの実績があるμITRON4.0仕様に準拠したリアルタイムOS「PrKERNELv4」を揃えています。開発環境としては、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を用意しています。またミドルウェアには、ネットワーク/ファイルシステム/USB/グラフィックスなどの幅広いラインアップを揃えています。
2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。


*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
*eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDはイーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。