プレスリリース

イーソルとCodeplay Software、eMCOS® リアルタイムOS プラットフォームを使用した車載アプリケーションのためのオープンスタンダードなプログラミングの実現に向け業務提携

~ SYCL™とOpenCL™をサポートするCodeplayのAcoranプラットフォームを
イーソルのeMCOS リアルタイムOSプラットフォームと組み合わせることで
 高い安全性が求められる組込みマルチコアアプリケーションの開発が可能に ~

報道関係者各位 
イーソル株式会社
Codeplay Software Ltd.

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)とCodeplay Software Ltd.(本社:スコットランド エジンバラ、CEO: Andrew Richards、以下Codeplay)は、マルチコアリアルタイムシステム上で稼働する車載用、産業用アプリケーション向けの高性能かつ安全な組込みアプリケーションの開発を可能にするために両社が業務提携したことを発表します。


イーソルとCodeplayは、ともに各分野の先駆的存在です。Codeplayは、AIとHPCにおけるヘテロジニアスプロセッサアーキテクチャのためのKhronos GroupのオープンスタンダードなC++プログラミングモデルであるSYCLの開発と定義をリードしてきました。イーソルは、組込みソフトウェアの分野をリードするグローバルベンダーであり、独自開発した革新的なマルチカーネルアーキテクチャで優れたスケーラビリティとマルチコアをサポートする商用リアルタイムOSプラットフォームは、セキュアで高い安全性が求められる分野において高い性能を実現しています。


この提携を通じ、Codeplayは同社のAcoranソフトウェアプラットフォームを、イーソルのスケーラブルリアルタイムOSプラットフォームであるeMCOSと統合します。これにより、先進運転支援システム(ADAS)アプリケーションの開発者は、Modern C++を使用して、信頼性が高く使いやすいイーソルのフレームワークに自社ソフトウェアを移植することが可能になります。


統合に向けた戦略として、まずマルチコアCPU環境をサポートし、次に人工知能(AI)とコンピュータビジョン(CV)機能のための統合アクセラレータのサポートを進めていきます。次世代車載システムへの採用が進んでいるAIとCVにより、安全性と制御機能の向上、事故の削減、救命、車両の自立性の向上が実現されます。


Data Bridge Market Research社のレポートによると、グローバルにおける組込みシステムの市場規模が2020年から2027年の間に毎年約6%ずつ成長すると予測しています。一方、組込み市場におけるAIと自律性特化型ソリューションの成長はこれよりはるかに速いと予測されています。また同期間における車載分野のADASソリューションおよびマシンビジョンアプリケーションの年間成長率は、それぞれ21%、34%と推定されています。


イーソルのeMCOSは、高性能と機能的安全性が要求される次世代組込みアプリケーションのための画期的なリアルタイムOSプラットフォームです。一般的なPOSIXユーザーインターフェイスおよび基盤となるマルチカーネルアーキテクチャを組み合わせたeMCOSは、利用可能なソースコードを再利用することで、最新のマルチコアとメニーコアハードウェアで最高のパフォーマンスを実現します。eMCOSは、車載用、産業用のきわめて重要な組込みアプリケーションの品質、安全性、セキュリティに関する最も厳しい規格を満たすためにゼロから開発、設計されています。


CodeplayのAcoranソフトウェアプラットフォームは、エクサスケールの人工知能向けに、プログラマビリティ、最適化されたプロセッサ固有ルーチン、そして業界別に最適化されたライブラリによる広範囲なエコシステムを提供します。Acoranは、標準ISO C++をベースにしたヘテロジニアスプログラミングを可能にするオープンスタンダードプログラミングモデル、SYCL(シクル)を重要な基盤としています。ヘテロジニアスプログラミングは、現在拡大を続けているHPC、AI、機械学習アプリケーションの基礎となっています。組込みC++の開発者は、独自仕様でないプログラミングモデルを探しているため、SYCLは勢いを増しています。



イーソル株式会社 常務取締役 上山 伸幸のコメント

「弊社のお客様は、最高レベルの品質と安全性を求めています。また、AIとHPCを利用して、自律ソリューションへのニーズの増大に応えられるリアルタイム組込みシステムを実現したいと考えています。弊社はCodeplayとの提携により、オープンスタンダードなヘテロジニアスプログラミングモデルをお客様に提供できることを大変うれしく思っています。」


Codeplay Software CEO兼創設者 Andrew Richards(アンドリュー・リチャーズ) のコメント

「これまで以上に多くのAIとHPCシステムが、オペレーティングシステム内での真のリアルタイム実行を必要としています。POSIXに準拠したeMCOSは、弊社のソリューションや、ADAS用のすべてのプロセッサシステムをオープンスタンダードでサポートしていくという弊社の取組みに完全に合致するものです。」


Khronos Group SYCL作業部会会長でありCodeplay Softwareのエンジニアである Michael Wong(マイケル・ウォン) のコメント

「企業が次世代処理システムにSYCLを採用し、開発者がオープンスタンダード方式を支持していることから、SYCLの勢いは増してきています。今回のイーソルとCodeplayの提携は、ソフトウェア開発者にとって、急成長を続けるSYCLエコシステムの中で利用可能な選択肢が増えていることを示す好例です。」



イーソル株式会社について

イーソルは、革新的なコンピュータテクノロジーによって安全で優れたコネクテッド社会の実現に貢献することを目指す、組込みシステムとエッジコンピューティング分野のグローバルなリーディングカンパニーです。1975年に創業し、現在東京証券取引所の第一部に上場しています。(証券コード:4420)イーソル独自のマルチカーネルテクノロジー(特許取得)によって開発されたeMCOSリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)を中心とした高性能でスケーラブルなソフトウェアプラットフォーム製品と優れたプロフェッショナルサービスは、厳格な品質、安全性、セキュリティ基準が求められる車載システムをはじめ、FA、人工衛星、医療機器およびデジタル家電を含むあらゆる組込みアプリケーションの分野において世界中で採用されています。最先端の自社製品の研究・開発や、主要メーカーや大学機関との共同研究に加え、AUTOSAR、Autoware*、マルチ・メニーコア技術の標準化活動を積極的に進めています。


* Autowareは、自動運転のためにROS/ROS 2上に構築されたオープンソースソフトウェアです。
* イーソル、イーソル株式会社、eSOL、eMCOS、エムコスは、イーソル株式会社の日本及びその他の国における登録商標または商標です。
* その他、記載された会社名および製品名は、各社・各団体の登録商標または商標です。


Codeplay Softwareについて

Codeplay Softwareは、AI、HPC、車載分野で使用されるアクセラレーション技術を可能にする世界的なパイオニアです。Codeplayは2002年にスコットランドのエジンバラで設立され、複雑なソフトウェアをグラフィックプロセッサを使って高速化できるツールを最初に開発しました。今日、ほとんどのAIソフトウェアはビデオゲーム用に設計されたグラフィックプロセッサを使用して開発されていますが、最近ではAIやコンピュータビジョン用の特殊なアクセラレータも開発されています。Codeplayは、オープンスタンダードベースのプログラミング言語を使用して最新の複雑なAIシステムをプログラミング可能にし、アプリケーション開発者が迅速にソフトウェアを市場に投入できるようにするために、グローバルなテクノロジーリーダーとの連携を続けています。 また、Codeplayはオープンスタンダードの定義にも深く関与しており、特にKhronos Groupを通じたOpenCL™、SPIR™、SYCL™、Vulkan™、自動車用のMISRA C++の定義にも力を入れています。


* SYCL、SPIR、VulkanはKhronos Group Inc.の商標です。OpenCLおよびOpenCLのロゴはApple Inc.の商標であり、クロノスの許可を得て使用しています。