プレスリリース

IEEE SHIMワーキンググループのチェアにイーソルのCTOが就任

~マルチ・メニーコア技術の国際標準化推進に貢献 ~

報道関係者各位 
イーソル株式会社
 
イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川 勝敏、以下イーソル)は、米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers 以下IEEE)において2月に設置されたマルチ・メニーコア技術の標準化を推進するワーキンググループ(正式名称:IEEE Computer Society/Design Automation/Software-Hardware Interface for Multi-many-core Working Group 以下:IEEE C/DA/SHIM WG)のチェアに、イーソルの取締役CTO 兼 技術本部長の権藤 正樹が就任したことを発表します。  


IEEEにある計39の分科会のうちのひとつであるComputer SocietyのDesign Automationにおいて、マルチ・メニーコア技術の国際標準化を推進するワーキンググループとしてIEEE C/DA/SHIM WGが新たに設置されました。このワーキンググループは、マルチ・メニーコアのソフトウェア・ハードウェア インターフェース(Software-Hardware Interface for Multi-many-core 以下:SHIM)をソフトウェア設計の観点からアーキテクチャの記述標準を定義し、マルチ・メニーコア ツールを有効にするための重要なハードウェア プロパティを抽象化する標準インターフェースを提供します。この標準インターフェースは、新しいマルチ・メニーコア ハードウェアをサポートするためのコストを削減することに役立ちます。これにより、新しい革新的なマルチ・メニーコアツールの開発が促進され、マルチ・メニーコア技術のエコシステムの実現が期待されます。

イーソルは、この他に2005年に設立されたマルチ・メニーコア技術推進の国際的な業界団体である米Multicore Association(MCA)のSHIM ワーキンググループのチェアを2013年より務めており、更に日本で2014年に設立された「組込みマルチコアコンソーシアム」の副会長も2014年より務めています。今回新たに設置されたIEEE C/DA/SHIM WGでは、MCAで策定された最新バージョンのSHIM Ver. 2.0をベースに更なる技術開発と仕様策定活動を進めていく予定です。国際的に高い認知度を誇るIEEE規格としての策定を推進することで、SHIM仕様のワールドワイドな普及の促進が期待できます。

また、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により昨年採択された「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/研究開発項目①革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」における「スケーラブルなエッジHPCを実現するOS統合型プラットフォームの研究開発」プロジェクトとも連携し、様々な分野において高度にインテリジェント化する組込みシステムにおける技術的課題を解決し、次世代の組込みコンピューティングの可能性を大きく前進させるため、研究開発活動を積極的にリードしていきます。


イーソルは、マルチ・メニーコア プロセッサ向け組込みリアルタイムOSの研究・開発を積極的に行う、リーディングカンパニーです。2012年に商用の組込み向けメニーコアプロセッサ対応リアルタイムOSとしては  世界で初めて「MCOS(Many-Core real-time OS)」の開発に成功し、2013年より製品名「eMCOS(R)(エムコス(R))」として市場に投入しています。eMCOSは、従来のシングル・マルチコア向けリアルタイムOSとはまったく異なる「分散型マイクロカーネルアーキテクチャ」を採用したリアルタイムOSで、独自のスケジューリングアルゴリズム「セミプライオリティベーススケジューリング」(特許 第5734941号、第5945617号)を搭載しています。またイーソルが2006年にリリースしたマルチコアプロセッサ向けリアルタイムOS「eT-Kernel(TM)  MCE(Multi-Core Edition)」は、情報家電やカーナビゲーションシステムなど高機能な組込みシステムで、多数の採用実績があります。SMP型とAMP型両方の複数のサブシステムを同一システム内で混在できる、イーソル独自の「ブレンドスケジューリング(TM)」技術を搭載しています。マルチコアシステム開発における、システム統合の効率化とリアルタイム性と信頼性の確保を容易にする、メモリとCPU時間を保護するシステム保護機能も用意しています。

イーソルでは、これらのマルチ・メニーコア対応のスケーラブルなリアルタイムOSの開発ならびに様々な高度でリアルタイム性の高い組込みソフトウェアの開発で培った技術力と知見を活かし、自動運転などをはじめインテリジェント化する組込み機器で用いられるより高度なプロセッサへの対応を視野に、マルチ・メニーコア技術の国際標準化に貢献していきます。


イーソル株式会社 取締役CTO 兼 技術本部長 権藤 正樹 のコメント

「今後益々インテリジェント化する組込みシステムにおいて、高度なマルチ・メニーコアを活用したソフトウェア開発では、開発を支援する様々なツールが不可欠であり、SHIMはこうした開発ツールやOSの迅速な市場化を促進する標準仕様として非常に重要です。IEEEでSHIMを規格化することで、マルチ・メニーコア技術のエコシステムの拡大が促進されることを期待しています。イーソルは、これまで培ってきたOSとツールの専門技術とノウハウをベースに、マルチ・メニーコア技術の標準化に向けてリーダーシップを発揮し、マルチ・メニーコア技術の発展をさらに促進していきます。」



■補足資料 

(1) eMCOSについて

eMCOS(エムコス)は、シングルコアからマルチ・メニーコアプロセッサまでをサポートした商用では世界初の組込みシステム向けスケーラブルリアルタイムOSです。従来のリアルタイムOSとはまったく異なる「分散型マイクロカーネルアーキテクチャ」を採用することで、コア数の違いに加え、マイコンやGPU、FPGAなどアーキテクチャが異なるヘテロジニアスなハードウェア構成をサポートするスケーラビリティを実現しています。さらに、イーソルの独自技術「セミプライオリティベーススケジューリング」(特許 第5734941号、第5945617号)を搭載することで、メニーコアで期待される高いパフォーマンスとスケーラビリティに加えて、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性を両立しています。また、シングルコアプロセッサやマルチコアプロセッサと同じプログラミングモデルとインターフェースを利用した、従来の方法でアプリケーションを開発できます。



(2) eT-Kernel MCEについて

eT-Kernel MCEは、マルチコアプロセッサを使う組込みシステムのためのリアルタイムOSです。独自の「ブレンドスケジューリング」機能により、ひとつのシステム内で、SMP型およびAMP型が混在した複数個のプログラムを共存させられます。「Single Processor Mode(SPM)」と「True SMP Mode(TSM)」をベースとする4つのスケジューリングモードを用意しています。プログラムによって適切なモードを選択することで、高スループットの実現などのSMP型プログラムのメリットと、リアルタイム性の確保やソフトウェア資産の再利用の容易さといったAMP型プログラムが持つメリットの、両方をひとつのシステム内で実現できます。



(3) イーソル株式会社について


イーソルは、革新的なコンピュータテクノロジーで豊かなIoT社会を創造する、1975年創業の、組込み・IoT分野のリーディング企業です。リアルタイムOS技術を核とするソフトウェアプラットフォーム製品とプロフェッショナルサービスは、厳しい品質基準が求められる車載システムを筆頭に、FA、人工衛星、デジタル家電を含むあらゆる分野で、世界中で採用されています。最先端の自社製品の研究・開発や、主要メーカーや大学機関との共同研究に加え、AUTOSAR、マルチ・メニーコア技術の標準化活動を積極的に進めています。


▽ イーソル詳細 https://www.esol.co.jp/ 


* イーソル、イーソル株式会社、eSOL、eMCOS、EMCOS、エムコス、eT-Kernel、ブレンドスケジューリングおよびBLENDED SCHEDULINGは、イーソル株式会社の日本及びその他の国における登録商標または商標です。
* その他、記載された会社名および製品名は、各社の登録商標または商標です。

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