プレスリリース

メニーコア向けソフトウェア開発キット「eSOL eMCOS SDK」をリリース


~TRONおよびLinux資産を使って、メニーコアプロセッサを手軽に評価~


報道関係者各位
イーソル株式会社

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:長谷川勝敏、以下イーソル)は、イーソルのメニーコアプロセッサ向けソフトウェア開発キット「eSOL eMCOS SDK」をリリースしたことを発表します。eMCOS SDKは、メニーコアプロセッサ対応リアルタイムOS「eSOL eMCOS」(イーソル エムコス)とネットワーク、ファイルサービス、USBの各機能を実現する各種ミドルウェアを統合したランタイムソフトウェア、および開発・検証用の各種ツール群「eSOL eMCOS IDE Plug-in」で構成されます。eMCOS はT-KernelとPOSIX APIをサポートし、さらに標準的なドライバスタックも含まれるため、TRONやLinuxの資産を使って、すぐにメニーコアプロセッサを評価できます。今回リリースしたeMCOS SDKは、36コアが搭載されたTilera社製メニーコアプロセッサ「TILE-Gx8036™」に対応しています。

イーソルが協賛する、「Embedded Technology 2014 組込み総合技術展」併催セミナー「組込みマルチコアサミット2014」(日時:2014年11月20日(木)13:00~17:00、会場:パシフィコ横浜 アネックスホール2F 【F204】(神奈川県横浜市)、参加料:無料(事前登録制))において、eMCOSおよびeMCOS SDKの特徴やメリットについて講演します。さらに、イーソルブース(ブース番号:D-22)にて、デモ実演を行います。

数十~数百のプロセッサコアを搭載するメニーコアプロセッサは、圧倒的なコンピューティングパワーと低消費電力が特長です。ネットワークにつながり、高度な画像処理・画像認識技術や、膨大なデータのリアルタイム処理が求められるインテリジェントな組込みシステムに有効です。車の自動運転や、ロボット、コンピュータビジョン、医療機器などの分野では、実際にメニーコアプロセッサの採用が進んでいます。一方、ハードウェアのアーキテクチャやコンセプトの違いにより、シングルコアおよび数コアまでのマルチコアプロセッサ向けの従来のリアルタイムOSが、メニーコアプロセッサ上では事実上利用できない、というのが開発上の重要な課題の一つです。

eMCOSは、こうした背景をもとに開発された、これまでのリアルタイムOSとは違うメニーコアプロセッサ向けリアルタイムOSです。eMCOSが採用する「分散マイクロカーネルアーキテクチャ」では、コア間通信を含むメッセージング、コアローカルスケジューリング、スレッド管理などの基本サービスを提供するマイクロカーネルが、コアごとに配置されます。一方、ファイルサービスやネットワークなどのミドルウェアやデバイスドライバなどのOSサービスは、マイクロカーネル上で動くサーバスレッドとして複数のコアに分散して配置されます。この仕組みにより、キャッシュコヒーレンシ機構を持たないメニーコアプロセッサでも、OSの複数コア間の共有データを少なくでき、コア数が増えてもスケーラブルなシステム性能を提供できます。さらに、特許出願中のスケジューリングアルゴリズム「セミプライオリティベーススケジューリング」(特願2012-247172)により、メニーコアで期待される高いパフォーマンスとスケーラビリティに加えて、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性の両立を実現できます。eMCOSのアプリケーションプログラミングモデルは「eT-Kernel Multi-Core Edition」などのマルチコアOSと同様に、CPUコアを意識する必要はありません。OSのAPIは、通常のC言語関数インターフェースで提供されます。APIで利用するメッセージングなどの仕組みはその内部で隠蔽されて動作するため、開発者はその挙動を意識する必要がありません。eMCOSは、POSIXとT-KernelのAPIをサポートしています。

「eSOL eMCOS IDE Plug-in」は、各メニーコアプロセッサ標準のEclipseベースの統合開発環境にプラグインして利用します。eMCOS IDE Plug-inには、スレッド(タスク)単位でウィンドウを開いてメニーコア上のプログラムの実行制御ができるデバッガや、システムの性能面のふるまいを解析表示するサンプリングベースのRealtime Profiler、メッセージ通信の状況を解析するMessage Profilerなどが含まれます。

イーソルは、自社製品の研究・開発に加え、マルチ・メニーコア技術を推進するリーディングカンパニーとして、産学連携や業界団体を通じた活動を活発に行っています。昨日発足した、組込みマルチコアコンソーシアムでは、副会長を務めます。さらに米国Multicore Associationでは、Software-Hardware Interface for Multi-many-core(SHIM)ワーキンググループのチェアを務めています。

「eSOL eMCOS」詳細
「eSOL eMCOS SDK」詳細


イーソル株式会社 執行役員 ソフトウェア技術統括責任者 兼 技術本部長 権藤 正樹 のコメント
「eMCOSは、メニーコアプロセッサの特性を最大限に引き出す、これまでとは異なるリアルタイムOSですが、μITRON、T-Kernel、Linuxのソフト資産やこれまでの同様のプログラミングモデルでスムーズに移行できるように設計・実装されています。まずは気軽にメニーコアプロセッサとeMCOSを評価して頂ける環境が、このたびリリースしたeMCOS SDKです。イーソルは、マルチ・メニーコア技術のリーディングカンパニーとして、マルチ・メニーコアプロセッサを活用したソフトウェア開発を強力にサポートしていきます。」

■補足資料

イーソル株式会社について

イーソル株式会社は「Inside Solution」をブランドスローガンに、1975年の創業以来、組込みソフトウェア業界、および流通・物流業界で実績を重ねて参りました。ユビキタス社会を内側から支える技術者集団として、お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、そしてトータルソリューションを提供しております。弊社は創業直後より30年以上にわたって、高信頼かつ高性能の組込みOS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開発、販売し、デジタルカメラなどの情報家電製品から車載情報機器や人工衛星システムにいたるまで、数多くの組込みシステムに採用いただいています。日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに製品・サービスの販売活動を広げています。さらに、顧客様のシステムに特化した組込みアプリケーション開発やコンサルテーションも創業時より行っており、これら様々な規模のシステム開発実績による技術とノウハウの蓄積を背景としたサービスは、多くの顧客企業様より高いご信頼をいただいております。また、組込み技術の応用市場としての流通・物流業界においても、指定伝票発行用車載プリンタ、耐環境ハンディターミナル、冷凍庫ハンディターミナルなどの製品企画および販売を行い、高い評価をいただいております。
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*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。

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