2005 年 2 月 23日
報道関係者各位
イーソル株式会社

T-Engineの標準リアルタイムOS、T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」ARM対応版をリリース


~eT-Kernelに完全対応した開発環境「eBinder」を使って、
短期間・低コストでの開発を実現に~

イーソル株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」のARM対応版をリリースしたことを発表します。また、開発環境として、eT-Kernelに完全対応したT-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」を同時リリースしており、あわせて使うことで、高品質なT-Kernelベースシステムを短期間・低コストで開発できるようになります。

eT-Kernelは、リアルタイムOSベンダーであるイーソルがこれまでμITRONで培ってきたノウハウと技術をもとにして、T-Engineフォーラムが配布するオープンソースのT-Kernelに性能面・機能面で改良・拡張を加えたT-Kernelの拡張版です(注1)。オープンソースのT-Kernelを使って製品を開発する際に、最も大きな不安要素であったT-Kernelの保証の問題については、イーソルが他のイーソル製品と同様の内容で保証します。バージョンアップや質疑応答などの製品サポートについてもイーソルが対応しますので、開発者は安心してeT-Kernelを使った製品開発に取り組むことができます。

eT-Kernelは、T-Engineフォーラム配布のT-Kernelと完全な互換性を保ちつつ、機能拡張・性能改善したものです。eT-Kernelの最大の特長は、システム起動時間の大幅な短縮を実現したことです。また、ハードウェア依存部のT-Monitorレスで動作し、高速な割込み応答性を確保しています。さらにSystem Managerや使用しないカーネルオブジェクトの取り外しが可能で、メモリ容量を最小限に抑えることができます。eT-Kernelには、システム規模と用途にあわせた下記3つのラインアップがあり、このたびARM版をリリースしたのは、「eT-Kernel/Compact」および「eT-Kernel/Standard」です。

○ eT-Kernel/Compact
最低限のカーネル機能を搭載したリアルタイムOSです。構成がμITRONに近いため、μITRONからの移行に最適です。
○ eT-Kernel/Standard
T-Kernel/CompactにT-Engine(注2)標準のデバイスドライバが付属します。T-Engineで共通化されたインタフェース仕様に準拠しているため、デバイスドライバの再利用が容易になります。
○ eT-Kernel/Extended(※今後リリース予定)
eT-Kernel/Standardをベースに、MMU(Memory Management Unit:メモリ管理ユニット)を利用したメモリ保護機能を持つプロセスモデルを実現します。プログラムによる予期しないメモリ破壊などのトラブルを事前に防止します。大規模化する組込みシステム向けに最適です。

eT-Kernelを使ったシステム向けに用意されたeBinderは、T-KernelをはじめとするリアルタイムOSを使ったリアルタイムシステム特有の課題に焦点を当て、イーソルがゼロから設計・開発したリアルタイムシステム開発のための開発環境です。ARM対応版のeBinder for ARMには、ARM Core Tools(ARM社純正コンパイラ)が標準で付属します。eBinderは、Windows上で動作する豊富な開発ツール群と、eT-Kernel、ミドルウェア(オプション)、スレッドセーフCライブラリなどのアプリケーションのターゲットプラットフォームとなるモジュール群で構成されています。これらは、eT-Kernelに完全対応しており、GUI上で簡単に操作できるeT-Kernelのコンフィギュレーション・ビルド機能や、eT-Kernelに特化したデバッグ支援機能などが搭載されています。このため、eBinderを使って開発を行うことで、品質の高いT-Kernelベースのシステムを、低コスト・短期間で開発できます。

今後は、eT-Kernelを順次MIPS、SHに対応させ、リリースしていく予定です。また、eT-Kernel/Extendedの開発も進めています。イーソルのネットワークプロトコルやファイルシステム、USBスタックなどのミドルウェアの、eT-Kernelへの対応も進めていきます。

注1)イーソルは、T-Engineフォーラムが認定する改変版配布者登録済みです(登録番号 TKDMA4001)。
注2) T-Engineは、ハードウェアの規格とOS環境(T-Kernel)の標準化をベースに、デバイスドライバやミドルウェアなどのソフトウェア部品の整備と流通、ネットワークセキュリティをキーワードとしたリアルタイムシステムの標準開発プラットフォームです。将来的なユビキタス・コンピューティングを実現する環境として今最も注目されています。標準化により、ソフトウェア部品の流通が円滑になることによって、ソフトウェア再利用による開発コストと開発期間の短縮を図ります。

▽「eT-Kernel」詳細:http://www.esol.co.jp/embedded/et-kernel.html
▽ T-Engineフォーラム公式サイト:http://www.t-engine.org/

イーソル株式会社
取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山 伸幸 のコメント

「イーソルは、組込みソフトウェア開発の効率化を目指すT-Engineフォーラムの趣旨に賛同し、T-Engineとその標準リアルタイムOSであるT-Kernelを使ったソフトウェア開発環境の整備に今最も力を注いでいます。このたびリアルタイムOSベンダーとしてこれまで培ってきた技術とノウハウを注いで開発したeT-Kernelとその開発環境eBinderを、まず組込みシステムの中で数多く搭載されているARMに対応させ、リリースしました。eT-KernelとeBinderを使うことで、T-Engineシステムの開発が短期間・低コストでできるとともに、ソフトウェア資産を再利用した次機種、後継機種などの将来を見据えた開発ができます。今後もT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、よりよい製品・サービス提供に努めていきます。」

eT-Kernel 構成図

■参考資料
イーソル株式会社について
イーソル株式会社は1975年の創業以来、「コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する」、という理念のもと、 組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、
トータルソリューションを提供します。 イーソルはT-Engineフォーラムの幹事会員として、T-EngineおよびT-Kernel関連の技術開発、サービス提供を強力に進めています。取り扱っている組込みソフトウェア製品には、T-Kernel/μITRONベースシステム開発スイート「eBinder」のほか、T-Kernelの拡張版「eT-Kernel」、μITRON4.0仕様準拠「PrKERNELv4」のリアルタイムOSをはじめとするRTOS/ミドルウェア製品群「eParts」のラインアップがあります。 2004年1月に米国オレゴン州に子会社 eSOL, Inc. を設立し、日本市場のみならず、北米、ヨーロッパ、アジア市場向けに「eBinder」、「eParts」の販売活動を広げています。

*eBinder、eParts、PrKERNEL、PrKERNELv4、PrFILE、PrCONNECT、PictDirectは
イーソル株式会社の登録商標です。
*TWister、eT-Kernel、PrHTTPD、PrMAIL、PrSNMP、PrUSB、PrPCCARDはイーソル株式会社の商標です。
*TRON は"The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON, ITRON, T-Engine, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、
特定の商品ないしは商品群を指すものではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。