2002年9月4日
報道関係者各位

イーソル株式会社
日本電気株式会社

NEC製V850シリーズ開発環境と μITRON統合開発環境「eBinder(R)」が融合


~NEC製システムシミュレータ上での試作を完了~
 

NEC(本社:東京都港区、代表取締役社長:西垣浩司)とイーソル株式会社(本社:東京都杉並区、代表取締役社長:澤田勉、以下イーソル)は、NEC製高性能32ビットRISC マイコン
「V850シリーズ」の開発環境に、イーソルが開発・販売するμITRON統合開発環境「eBinder」を対応させる作業が進行していることを発表します。リリースは年末になる見込みです。この対応により、「V850シリーズ」を用いたOA機器、情報家電製品などのアプリケーション開発にかかる期間とコストを大幅に削減できます。既に「V850シリーズ」システムシミュレータ上での試作版の開発を完了いたしました。

同製品は、NEC製「V850シリーズ」開発ツール群 -μITRON3.0準拠「RX850Pro」及びCコンパイラ「CA850」など-と、「eBinder」をパッケージにし、イーソルより販売する予定です。NECとイーソルは協力して、同製品の試作版を使ったプロモーション活動を9月より開始いたします。

同製品を使用することにより、ユーザは以下のメリットを受けられます。

・「eBinder」が提供するソフトウェア部品単位のコンフィギュレーション・ビルドからデバ
 ッグ・テストまでの豊富なツールを使うことで、高品質で付加価値の高い製品をタイムリ
 ーに市場投入可能。
・「V850シリーズ」を用いた各種μITRONアプリケーションの開発にかかる期間とコストを大
 幅に削減。
・リファレンスプラットフォームに対応したBSP(Board Support Package)をバンドルして
 おりイーソル製FATファイルシステム「PrFILE」、TCP/IPプロトコルスタック
 「PrCONNECT」を使用し、すぐに開発に取り掛かることが可能。
・NEC製純正Cコンパイラ「CA850」対応により、NEC製V850シリーズ開発環境から「eBinder」
 へのスムーズな移行が可能。

日本電気株式会社 NECエレクトロンデバイス 
マイクロコンピュータ開発事業部 統括マネージャー 松田実 のコメント

「NECは1984年以来、様々なマイクロコンピュータ向けのITRON製品をリリースしておりますが、このたび、弊社V850シリーズ用開発環境と eBinderとのインテグレーションによる、画期的な開発環境をユーザに紹介できることを歓迎します。」

イーソル株式会社 取締役エンベデッドプロダクツ事業部長 上山伸幸 のコメント
「「eBinder」はこれまで多くのネットワーク家電製品開発において実績を持っており、組み込み分野に広く浸透した「V850シリーズ」でシステム開発を行う方々に対し、よりよい開発環境を提供できることを確信しています。今後もいっそう優れた開発環境を提供できるよう、 NECと協力していきます。」「V850シリーズ」について

V850シリーズは、16ビット~32ビットマイコン市場をターゲットとした、高機能・高性能な32ビットRISCマイクロコンピュータです。
V850シリーズは、出荷累計が1億個を超え、ローエンド展開(V850ES/Kxx)からハイエンド展開(V850E/Mxx)まで、幅広い製品展開を行っています。
ローエンド展開製品のV850ES/Kx1は、78K4シリーズの後継として、また78K0からのシームレスな継承性を考慮した製品仕様となっております。
ハイエンド展開製品群は、大容量のデータ処理、複雑なデータ演算などに対応しながら、高速割り込み応答性も両立させています。
さらに、細かい分野要求に対応するため、分野特化した専用ハードウェアを内蔵したASSP展開も行っています。
このように、V850シリーズは、同一アーキテクチャによる幅広い製品展開を行っており、お客様にとって、将来に亘って安心して使用して頂ける製品です。

▽ 『V850シリーズ』詳細:http://www.ic.nec.co.jp/micro/

「eBinder」について
μITRONは、日本で開発されたOS搭載の家電製品において最も多くのシェアを持つポピュラーなカーネルです。その一方で、現在市販されている μITRONの開発環境は、μITRONの特性を生かした十分な機能が提供されていないのが実情です。トロン協会の調査では、ITRONの短所として、 14.1パーセントの技術者が「開発環境/ツールの不足」を挙げています。(トロン協会、MST2000アンケート結果より)また、μITRONはスケジューリング機能のみを実装したコンパクトなカーネルであり、様々なソフトウェア部品と組み合わせる必要があります。μITRONおよびソフトウェア部品の、異なる会社にまたがる組み合わせは、なかなかスムーズに動作しないのが通常です。
eBinderは、これらの課題を解決するμITRON対応組込み開発環境です。システム構築及び管理に威力を発揮するコンフィギュレーション及びビルド機能、最大8個までのタスクを同時にデバッグできるマルチコンテキストデバッグ機能、カーネルはもちろん、ソフトウェア部品の状態遷移やプログラム実行時の状態を参照できるシステムデバッグツール、そしてターゲットのファイルシステム操作やマルチコンテキストの実行制御、任意の関数実行などをスクリプト動作させる、強力なシェルを提供しています。また、他のμITRON系開発ツールと異なり、これらの機能はターゲットシステムを停止させる事無く利用できます。特にアプリケーション開発時においては、カーネルやドライバタスクは停止させずにアプリケーションタスク(群)の検証を行う事ができ、対象となるアプリタスクのみに注力できます。これにより、従来アプリタスクをブレークさせると割り込みもドライバも停止してしまい、実システム動作と異なってしまうという問題や、アプリタスクの検証に下層ソフトの知識が要求されると言った問題を解決し、高品質なソフトウェアのための検証コストを削減できます。さらにはオプション製品のPackageBuilder(パッケージビルダ)を使用する事により、MWベンダ、あるいはユーザが自由にソフト部品パッケージを作成・追加でき、特にユーザのソフト部品管理のプラットフォームを提供します。
eBinderは、μITRON以外のOSへも対応できるよう設計されており、他のOSへの対応も視野に入れています。

▽ 『eBinder』詳細:http://www.esol.co.jp/embedded/index_ebinder.html


イーソル株式会社について

イーソル株式会社は1975年の創業以来、コンピュータエンジニアリングを通じて社会に貢献する、という理念のもと、組込みソフトウェア業界、及び流通・物流業界で実績を重ねてきました。お客様の満足を第一に、開発、販売からサポートまで一貫したサービス、トータルソリューションを提供します。
取り扱っている組込みソフトウェア製品には、「eBinder」のほか、ライセンス & ロイヤリティフリーでソースコードを公開しているμITRON「PrKERNEL」をはじめ、各種ミドルウェア製品のラインナップがあります。

*V850シリーズは日本電気株式会社の商標です。
*eBinderはイーソル株式会社の登録商標です。
*PackageBuilderはイーソル株式会社の商標です。
*TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON および ITRON は特定の商品ないしは商品群を指す名称ではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。