2001年5月30日
報道関係者各位

イーソル株式会社

μITRON統合開発環境 『eBinder』統合開発環境が組み込み機器開発のプロセスを一新期間短縮と品質を向上

 

組み込みシステム開発のトータルソリューション・プロバイダであるイーソル株式会社(平成13年5月1日にエルグ株式会社より社名変更、本社:東京都杉並区、代表取締役社長:澤田勉)は、新製品、μITRON用の統合開発環境「eBinder」を発表しました。

最近の携帯電話、携帯情報端末、デジタルカメラなどの情報機器や情報家電は、高機能化する一方で、 開発サイクルがますます短縮されています。μITRONは、これまで多くの国内の情報機器製品に採用されながらも、 長らくその開発環境の不在が指摘されていました。「eBinder」は、そのμITRONに対応し、 組込みシステム開発のコストを激減させることを目指して、開発されました。

また、イーソルは、京都マイクロコンピュータ㈱(山本彰一社長),㈱キャッツ(上島康男社長)などの 有力開発ツールメーカとアライアンスを結び,「eBinder」に彼らの製品を統合化して販売する予定です。

従来,イーソルが開発・販売していた組込み機器用のソフトウェア部品「eParts」も、 当然ながら「eBinder」に統合可能で、ソフトウエア部品としてのコンフィグレーションが容易になります。 同様に他社のソフトウエア部品も「eBinder」に取り込むことで、同じ効果を得ることができます。

イーソルはこの分野でもアライアンスの強化に努めており、その第一弾として, ジャストシステム(株)(浮川和宣社長)の「ATOK Pocket」を「eParts」へ組み込む予定です。

eBinder誕生の背景
1) 外国製品・Linuxのモデル
外国製のOSには、Windows CEなど、大手の企業が自社で策定した仕様に基づく製品を 傘下企業等の協力の下に提供するモデルもあれば、Linuxのようにオープンなコミュニティに 参加する人たちによって自由に作成され、フリーで提供されるものもあります。 前者は、仕様を一社で決定できるため、新技術への対応を容易に行うことができ、 また、後者は、オープンであるため、費用のかからない幅広い分野のソフトウエア部品の提供が可能になります。

2) ITRONのモデル
しかし一方で、これらのモデルにも短所があり、大手企業が一社で仕様を策定するモデルでは、 仕様が公開されないため、それらの製品を使う組込みシステム開発者の個別の要求に対応するのは困難です。 また、Linuxのようなオープンなモデルでは、新技術に対応したソフトウエア部品が提供される可能性が大きいものの、 誰もその不具合に対して責任を取らない、という結果を招きます。
これらの中間に位置するのが坂村健 東京大学教授が提唱する日本製のITRONです。 ITRONプロジェクトは、多数の企業が参加して仕様を策定し、それを公開し普及させるために立ち上がりました。 仕様がオープンであるため、知識があれば、誰でもITRON OSを作ることができます。
 ITRONは、約40パーセント( http://www.itron.gr.jp/survey00/result-j.html) の国内組込み製品に採用されています。ITRON仕様OSの中でも、 現在最も使われているのがコンパクトなμITRON仕様OSです。しかし多くの製品に採用される一方で、 ITRONに対しては、様々なソフトウェア部品を統合してOSを構築するなどのサポートの弱さ、開発ツール不在などの不満の声がユーザから挙がっていました。イーソルは、そのような不都合を解決しようと, μITRON統合開発環境「eBinder」の開発を行ってきました。

eBinderの特徴 ~ソフトウエア部品を統合できるオープンな環境~
「eBinder」は、CPU,OSの中心モジュールであるカーネルなどを特定のものに限定しないオープン性を保つよう設計されています。ひとつのツールでは複雑なアプリケーションに対応できない時代であり、開発者にツールチエインを提供することが重要になっています。また、ターゲット側に必要とされるソフトウエア部品は、アプリケーションによってさまざまな要求があり、開発期間を短縮する上で、重要な要素となっています。「eBinder」は、これらのツールベンダー、パーツベンダーと容易にアライアンスを組み、充実した開発環境を提供できる仕組みを整えています。
 「eBinder」は、CASEツールやバージョン管理ツールなどの上流ツール、またICE等の開発ツールを統合化して,有機的な開発環境として提供します。

ターゲットマーケットとロードマップ
「eBinder」は、組込み機器開発全般に対して強力な武器になりますが、特に、開発サイクルが短く、技術の変遷に伴い、CPUやOS等の変更が短期間に発生する携帯電話、デジタルカメラ等に代表されるデジタルコンシューマ製品の開発部門が、最初の重要なマーケットと考えています。
 「eBinder」の最初のターゲットOSとして、μITRONを選びましたが、将来は、LINUXなど、他のOSへも対応を計画しています。また、CPU対応の品揃えも随時行っていく予定です。

イーソルは、「eBinder」と「eParts」の本年度の売上で、2億円を目標にしています。

以上

*eBinderはイーソル株式会社の登録商標です。
*ATOK、 ATOK Pocketは株式会社ジャストシステムの登録商標です。
*TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
*ITRON は "Industrial TRON" の略称です。
*μITRON は "Micro Industrial TRON" の略称です。
*TRON および ITRON は特定の商品ないしは商品群を指す名称ではありません。
*記載された社名および製品名は各社の商標または登録商標です。