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特集

キーマン対談⑤

今回のキーマン

MASAKI GONDO

権藤 正樹

eSOL代表取締役社長CEO兼CTO

プロフィール

1996年 9月 エルグ株式会社(現当社)入社
2010年 1月 当社技術戦略室長
2012年 1月 当社技術本部長
2017年 3月 当社取締役技術本部長
2022年 1月 当社取締役ソフトウェア事業部長
2022年 3月 当社専務取締役ソフトウェア事業部長
2025年 1月 当社専務取締役CTO
2025年 3月 当社代表取締役社長CEO兼CTO(現任)
見どころ

当社は5月に創業50周年を迎えますが、3月に就任する新たな代表取締役社長のもとでさらなる成長を目指してまいります。

今回の対談では、新社長の権藤と前社長の長谷川が、これまでの成長の振り返りをはじめ、代表取締役社長交代の経緯や今後のeSOLについてなど、それぞれの立場から個人的な思いも含めて語り合いました。

01創業50周年を迎えて

自社製ソフトウェア製品の開発・販売とエンジニアリングサービスで成長

長谷川
当社は初代社長が「今後はソフトウェア時代が来る」ことを予測して1975年に創業し、今年5月に創業50周年を迎えます。その成長を振り返ると、組込み機器向けのOSを開発し、販売を始めましたが、創業当時の日本は人手不足が続き、大手企業にはソフトウェア担当者がいない時代であり、私達のビジネススキルも不足していましたので、1990年頃までは主にエンジニアの派遣で事業を成長させてきました。その後、日本の半導体メーカーが世界市場をリードしていた1990年代には、大手半導体メーカーのマイコン用OSをはじめとするソフトウェア製品の開発・製造に注力し始めましたが、お客様から見ると派遣や請負いのイメージが強いようで、製品の売れ行きは伸び悩んでいました。そこで、2001年に社名を「エルグ」から「eSOL」に変え、製品も組込み機器向けのような付加価値の高い製品を開発し、マーケティングや営業力も強化しました。製品が売れるとエンジニアリングサービスも増え、製品3:エンジニアリングサービス7の比率で売上が拡大していきました。この製品事業を率いたのが権藤でした。
権藤
私はアメリカの大学で分子生物学について学び、1995年に入社しました。ソフトウェアは畑違いの分野でしたが、なぜか適性試験の成績が良かったからか当時の社長に「向いている」と言われ(笑)、製品事業を推進する開発課に配属されました。当時はソフトウェア製品の開発を行っていたもののエンジニアリングサービスに次ぐ事業には程遠い状況でしたので、社名を変更して付加価値の高い製品を発表したのですが、そう簡単には売れませんでした。そこで当時の日本では知られていなかったプロダクトマネジメントの手法を取り入れて開発から販売までを統合してお客様にアプローチし、幸運にも自動車関連などの顧客を獲得して一定の事業規模と継続的に利益を出せる体制にすることができました。この製品事業と従来から事業の柱であったエンジニアリングサービス事業は個別に展開していたのですが、一つのチームとして事業も技術も展開していこうということで、3年前に個別の事業部を廃止して一つの事業部にし、その事業部長を私が務め、社内の協力とお客様のご支援のお陰で念願の100億越えを果たし、今回の体制変更に至ったわけです。
長谷川
そうした中、当社は2018年に東京証券取引所に上場しました。上場に際してもそうですが、その後も間接部門の充実やガバナンスの強化などを進めてきました。創業当時は課題も多くありましたが、50年を経て良い会社になったと思います。もともと上下の隔たりがあまりない会社でしたが、この風通しが良い文化は踏襲してもらいたいですね。
権藤
風通しの良い文化とともに長谷川が築き上げたのが、チームワークです。もちろん最終的な決定と責任はトップが負うのですが、全員が課題や目標に積極的にアプローチし、ブレイクスルーを起こし続けるというeSOLのコアな文化になっています。
02社会や業界におけるeSOLのポジション

自動車業界をはじめとして、社会を支えるソフトウェアを提供

長谷川
取引先のセグメントを見ると一目瞭然なのですが、取引先の40%以上が自動車関連です。自動車産業は膨大な雇用を創出し、外貨を稼ぐ重要な産業です。多くの企業が役割分担して、世界に誇れる安全・安心な日本車を造っているわけですが、1台の自動車を構成する要素の中でソフトウェアが占める割合が増しており、その重要性が高まっています。このソフトウェア開発・製造を安心して任せることができるのが当社であると思っています。また、自動車業界における評価は、他の産業からもお声がけいただけるというメリットにもつながっています。
権藤
昨年から一気に注目されるようになったSDV(ソフトウェア・ディファインデッド・ビークル)を筆頭に、自動車におけるソフトウェアの重要性はますます高まっています。しかもアクセルやブレーキなどはソフトウェアの指示で動いているので、ソフトウェアに不具合が起きると重大な事故になりかねません。このようなシステムやソフトウェアをミッションクリティカルと呼びます。ところが、ソフトウェア技術はバグが出るとか、銀行や通信会社のシステム停止などが起きるように、未成熟で完成していない技術であり、ミッションクリティカルなシステムに適用するには高度な技術力が求められます。当社はそういうソフトウェアの開発を担える会社であり、その提供を通じて業界や社会に貢献しています。
03代表取締役社長交代に当たって

ワールドワイドな事業展開を見据えた人選

長谷川
アメリカの大学出身ということ、また製品事業での海外顧客獲得の実績を持っていることからワールドワイドに事業を展開していくためには権藤しかいないだろうというのも権藤を次期社長に決めた理由の一つです。また、顧客の非常に挑戦的なプロジェクトに参加する機会があり、彼は「赤字になってもモノづくりをしたい」と言い、そのプロジェクトに取り組んだのですが、それにより2022年と23年は営業利益がマイナスとなりました。しかし、そこは彼が踏ん張って人材の採用と組織の立て直しができたので、今でもその挑戦は良かったと思っています。
権藤
結果的にそのプロジェクトは一旦打ち切りとなりましたが、チームの力でそこから這い上がることができました。また同プロジェクトは新たな形で再起動も始まっています。この経験は長谷川が築き上げたeSOLの文化であり強みである、チームとして動くことをさらに進化させたと思っています。
04今後のeSOLについて

着実な成長を目指して、SDVを主戦場に、フルスタックエンジニアリングを提供

長谷川
当社は製品開発に積極的な投資をしてきましたし、今後もしていくのですから、しっかりと収益を上げて、高利益の企業へと成長してほしいと思っています。特にワールドワイドでの知名度を上げ、eSOLのブランドも高めてほしいと思っています。社内に対しては、自動車関連の業務が増えると、従来のスキルセットが合わないケースが出てくるので、そうした人材の能力を伸ばして活躍してもらうことが必要でしょう。
権藤
注力分野としては、先ほどのSDVが今後5~6年くらいの主戦場になると思っています。一般的にSDVは乗用車のそれと捉えられますが、英語のV(ビークル)は移動体といった意味で、乗用車も商用車も、建設用、農業用、ドローン、海洋系、空、宇宙などの移動体を含みます。我々はこうしたSDVの「V」に向けて、ソフトウェアシステムの基盤層であるOSからミドルウェア、プラットフォーム、アプリケーションそしてツールとプロセスまでの全ての階層を統合してエンジニアを行う「フルスタックエンジニアリング」を提供していきたいと思っています。
ソフトウェア事業には、開発コストは膨大にかかるが、量産コストはゼロに近いという特質があります。この特質を最大化するのがプラットフォーム化ですが、SDVは提供するソフトウェアをプラットフォーム化させることが可能です。SDVのVに向けたソフトウェアをフルスタックで提供するということはまさにプラットフォーム化であり、その実現に向けて車載ソフト国際標準AUTOSARに準じた技術開発を進めています。
長谷川
この3月に権藤が新社長に就任しますが、代表が若返ることで今後のeSOLの成長はさらに加速すると思いますので、ぜひともご支援をお願いします。
権藤
長谷川も触れましたが、ブランディングも強化しようと思っており、IR情報も積極的に発信して市場の認知を上げていきたいと考えています。当社へのご支援が皆様の長期的な資産形成のお役に立つように事業を着実に成長させてまいりますので、より一層のご支援をよろしくお願い申し上げます。