アプリ開発者が「すぐに使える」新ソフトウェアプラットフォーム
概要
eT-Kernel SDKは、高い信頼性を持つリアルタイムOS「eT-Kernel」をベースに、LinuxやWindows®などの汎用OSと同等のアプリケーションフレームワークを構築し、高い開発効率と表現力を実現した新ソフトウェアプラットフォームです。eT-Kernel上に、ノキア社UIアプリケーションフレームワークQtやOpen GL/ES、OpenVGドライバが含まれるグラフィクス、オーディオ、ネットワーク、ファイルシステム、データベースなどの各ミドルウェアやドライバと開発ツールeBinderを統合化しました。TRON、T-Kernel、POSIX、Qtをはじめとする各種オープン仕様の採用により、高いソフトウェア再利用性を実現しています。
eT-Kernel SDKには、プロトタイプ開発に適した利用しやすい低価格の評価パッケージと、量産前のシステム最適化時に適したソースパッケージがあります。eT-Kernel SDK評価パッケージは、ランタイム側の各種コンポーネントが最適化済みのブートイメージの形で提供されるため、絵、音、ファイル、ネットワークを利用するプロトタイピングに即座に着手できます。

eT-Kernel SDKが解決する課題
eT-Kernel SDKは、従来のTRON/T-Kernelを使った開発における課題と、LinuxやWindows®などの汎用OSを使った開発における課題を、解決します。
TRON/T-Kernelの課題を解決
通常、グラフィクスやオーディオ、ネットワーク、ファイル機能などを搭載する、数十人月から数千人月クラスの大規模な新商品開発の前には、プロトタイプ開発を行って商品コンセプトの実現性や価値の事前評価を行います。こうしたプロトタイプ開発では、時間と予算が限られているため、“すぐに使えない”、またオープンソースのミドルウェア資産が不足しているTRON/T-Kernelは採用しにくい、といった課題がありました。
eT-Kernel SDKは、下記を実現し、こうした課題を解決します。
- カーネルや、グラフィクスやオーディオ、ネットワーク、ファイル機能などを実現する各種ミドルウェアとドライバ、開発ツールを統合化して提供することにより、開発前のインテグレーション作業を不要に
- プロトタイプ開発向けのeT-Kernel SDK評価パッケージでは、ランタイム側の各種コンポーネントを最適化済みのブートイメージの形で提供することにより、時間がかかる各種コンフィギュレーションやビルド作業を不要に
- プロトタイプ開発で優先される、必要な機能を手早く構築することを可能にするために、TRON/T-Kernel、POSIX、Qt、OpenGL/ES、OpenVGなど、オープン仕様をメインに採用し、オープンソースのソフトウェア資産やエンジニアリソースを活用しやすい環境を構築
- プロトタイプ開発向けのeT-Kernel SDK評価パッケージでは、他社製ソフトウェアのサポートもイーソルが一本化して提供することにより、複数ベンダへの問い合わせや調整が不要に
- プロトタイプ開発向けのeT-Kernel SDK評価パッケージでは、JTAG ICEが不要なため、JTAG ICEの手配や接続準備の時間を省略
LinuxやWindows®などの汎用OSの課題を解決
汎用OSを利用すると、統合済みの評価環境が安価に入手できるため、効率的なプロトタイピングが容易です。しかし、元来デスクトップPCやサーバ向けに開発された汎用OSでは、量産品開発時のシステム最適化や品質確保の点で課題があります。
T-Kernel SDKは、下記を実現し、こうした課題を解決します。
- eT-Kernel SDKのコアとなるeT-Kernelは、元来組込みシステム用途に特化して開発されたリアルタイムOSであるため、優れたリアルタイム性能や起動時間の速さ、メモリ使用効率の高さなど組込みシステムに適した性能を提供
- カーナビや人工衛星、デジタル家電をはじめとする幅広い分野で多数の実績を持つeT-Kernelにより、高い信頼性を提供
- 量産品開発向けのeT-Kernel SDKソースパッケージにより、不要なコンポーネントの取り外しや各コンポーネントのコンフィギュレーションなど、メモリ使用量やパフォーマンスの最適化、信頼性確保が可能
- eT-Kernel SDKはeBinderの「プラットフォームパッケージ(PLP)機能」を利用して作成されているため、コンポーネントの取り外しや追加、各コンポーネントのコンフィギュレーションの値調節などのシステム最適化が容易に
- eT-Kernel SDKの開発ツールeBinderに含まれる各種システム解析ツールにより、システム検証やパフォーマンスボトルネックの洗い出しなどシステム最適化と信頼性確保が容易に
eT-Kernel SDKの特長
アプリ開発者が「すぐに使える」ソフトウェアプラットフォーム
eT-Kernel SDK評価パッケージでは、含まれるOSとミドルウェア、各種ドライバなどのランタイム側の各種コンポーネントが、プロトタイピングに必要なリアルタイム性能や機能を十分に実現できるようにあらかじめ最適化された形でコンフィギュレーション済みで、さらにOSブートイメージとライブラリのビルドまでが完了しています。このため、ドキュメントに従って作業を進めると、短時間で必要なソフトのインストールやターゲットボードの設定と接続など一連の環境構築が完了し、即座にプロトタイピングに着手できます。プロトタイプ開発におけるターゲットボードへのロードやデバッグ時には、JTAG ICEは不要です。
グラフィクス、サウンド、ファイルシステム、ネットワーク機能を統合化
eT-Kernel SDKには、プロトタイピングにおける典型的な基本機能である、グラフィクス、サウンド、ファイルシステム、ネットワーク機能が統合化されています。eT-Kernelに加え、開発ツール「eBinder」と、ノキア社製UIアプリケーションフレームワークQt、エンプレス社製データベース、Open GL/ES、Open VGグラフィックドライバ、イーソル製TCP/IPプロトコルスタック「PrCONNECT/Pro」、FATファイルシステム「PrFILE2」、USBホストスタック「PrUSB/Host」などのミドルウェアが含まれます。音声入出力は、USB Audioを利用し、ファイルサービス経由で実現できます。
Qtを中心とする充実したグラフィクス機能
eT-Kernel SDKは、グラフィクスやデータベースなどのミドルウェアが充実しているのが特長のひとつです。特にグラフィクス系では、ノキア社製UIアプリケーションフレームワークQt、Open GL/ES、Open VGグラフィックドライバが統合化されているため、高度な技術や知識が必要な移植にかかる大きなコストをかけずに、即座に評価を開始できます。3DやアニメーションUIなど高度なユーザインタフェースを実現でき、LGPL版も用意されているQtには、豊富なデモ及びサンプルアプリケーションが付属しますので、それらを活用したQtの評価も簡単にできます。
TRON/T-Kernel、POSIX、Qtをはじめとする各種オープン仕様を採用
T-KernelやPOSIX、Qt、OpenGL/ES、OpenVGなど、オープンな技術がメインで構成されていますので、オープンソースのソフトウェア資産やエンジニアリソースを活用できます。
TRON/T-Kernel資産に加え、Linux資産の再利用が容易
高機能システム向けのeT-Kernel SDKに適したPOSIX仕様準拠リアルタイムOS「eT-Kernel/POSIX」は、T-Kernel APIに加え、POSIX仕様で規定しているほとんどの、900以上のPOSIX APIをサポートしています。単なるラッパーライブラリではなく、T-Kernel内部に手を入れてチューニングし、性能を損なわずに本格的なPOSIX機能を実現しています。eT-Kernel SDKでは、このeT-Kernel/POSIXの高いLinux互換性により、ITRON資産やT-Kernel資産に加え、Linux資産を容易に再利用できます。
マルチコアもサポート
マルチコアプロセッサ利用時には、SMPとAMPの混在が可能なマルチコアプロセッサ対応リアルタイムOS「eT-Kernel Multi-Core Edition」を利用できます。このため、eT-Kernel SDKを利用したマルチコア評価も簡単にできます。また、マルチコアシステム保護機能「eT-Kernel Multi-Core Edition Memory Partitioning」との併用により、マルチコアシステムの信頼性と品質の確保を可能にします。
プロトタイプ開発に適した、利用しやすい低価格の評価パッケージ
プロトタイプ開発に適したeT-Kernel SDK評価パッケージは、利用しやすい低価格で、90日間利用できます。
評価パッケージ利用時は、他社製ソフトウェアのライセンスとサポートもイーソルより一本化して提供
eT-Kernel SDK評価パッケージ利用時は、他社製ソフトウェアの評価ライセンスとサポートもイーソルより一本化して提供されます。迅速さが求められるプロトタイプ開発時には、OSと開発ツールといったプラットフォーム基盤の開発元であるイーソルならではの、包括的でスピーディーなサポートを受けられます。一方、量産品開発時にeT-Kernel SDKソースパッケージを利用する際には、各ソフトウェアベンダより、きめ細かいニーズに合わせたより深いサポートが提供されます。
量産品開発時のシステム最適化に適したソースパッケージ
量産品開発時には、異なるハードウェア環境への移植に加え、不要なコンポーネントの取り外しや各コンポーネントのコンフィギュレーションなど、メモリ使用量やパフォーマンスの最適化、信頼性確保が必要です。こうした用途に、eT-Kernel SDKソースパッケージを用意しています。eT-Kernel SDKはeBinderの「プラットフォームパッケージ(PLP)機能」を利用して作成されているため、コンポーネントの取り外しや追加、各コンポーネントのコンフィギュレーションの値調節などのシステム最適化が容易にできます。eT-Kernel SDKソースパッケージは、一部のコンポーネントを除き、ソースコードで提供されます。
動作環境
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| CPU |
2010年12月のeT-Kernel SDKリリース時には、まずはARM11 MPCore™ マルチコアプロセッサが搭載されたルネサス エレクトロニクス社製EC-4260(NaviEngine-MID)をサポートします。
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